大変ながらくお待たせいたしました。月鞠第16号が、出来いたしました。
《主・宰・の・ひ・と・り・ご・と》
前回の更新から、一年余。甘えられるところに甘えて、また、ながらくご無沙汰をしてしまいました。このあいだ、口座からの借入金を清算できました一方で、第6号~14号まで、「こぬさか草子」を連載していた母千枝子が亡くなりました。痛手の折、賛助会員の方から、カステラをいただきました。カステラといえば、思い出す言葉があります。「こんなときに、何も食われへん」「何をいうんや、食うてみぃ」「う……。うまい!」「そやろ。うまいもんは、いつ食うても、うまいんや!」「どてらい男」というテレビドラマを、丁稚奉公を経て蒲鉾屋を立ち上げた祖父母の戦後に重ね、観ていたものです。「うまいもんは、いつ食うてもうまい」は、汽車の中で知り合ったケーキ職人が、父危篤の故郷へ向かう主人公に、カステラを勧めた折の言葉。母の告別式には、息子が向かいました。大阪から三鷹へ戻って、いただいたカステラをほおばって、おなじように、言いました。「う、うまいなぁ……」あすは、立春。あなたにこそ、どうか、素晴らしい春でありますように。(2月3日更新、月鞠の会ホームページより)
「月鞠の会」ホームページが、文字化けするそうなので、こちらに再掲。
借入金を清算できました。まず、このご報告です。
ご購読の方、寄贈の方への送付を、これからいたします。
会計報告については、送付が完了した際、会員各位へ、個別にいたします。
さて、16号巻頭は、佐藤明彦さん「詞あさきに似て」。
俳句マガジン「童子」編集長。わたしには、二十代も終わりの頃の上司だった方で、小さな子を抱いて路頭に迷う頃、職に就かせてくださった恩人です。
「なんでもない事柄がなんでもない詞によって浅川の流れのような調べをもって詠まれる句」、ほとんど古典からの引用によって構成された玉稿のなかで、「詞あさきに似て」の本意を、明彦さんは、寸鉄のようにお書きです。
サンタさんの小説「石榴の花が咲いた日に」20枚。
伊藤若冲を主人公とした、友情の物語。上田秋成との接点を想像し、書かれています。
「キャンプにて」。
ほうき職人であり、造形作家の吉田慎司さんに、Art Galleryとして、1ページを丸ごと委ねました。作品だけでなく、お原稿の授受をめぐるやりとり、他でも、お心遣いの濃やかさをご信頼申し上げます。
以下は、会員のページ。
真狩浪子が、二十首歌「月にはうさぎ」に、渾身の恋歌を。
「わたしもと答えるうちに少しづつ同じ想ひに近づいてゆく」
根本洋輝が、二十首歌「一年」に、青年期終末の憂愁を。
「深夜街大人を避けて歩いてる家出少年北斗七星」
佐藤元紀が、二十首歌「止息」に、壮年期の多忙を、書いています。
本集の白眉「生も死もさながら見えぬ瓶覗き 雲ひとつなき空ぞくるしき」
拙歌、百首歌「あん」。
ほか、歌論七として、「おいしい水とコーヒー」を、書いています。巻頭、明彦さんがお書きの、「詞あさきに似て」と、通うかもしれません。
小誌「月鞠」は、国立国会図書館でも閲覧できますが、発行所のほうへお申し込みをいただければ、ご購読が可能です。
頒価は一冊につき1000円。送料は当方負担。
tatumiliveあっとまーくyahooどっとcoどっとjp
まで、お申込みください。
入会をご検討になられる方は、「見本誌希望」とお書きください。見本誌については、寄贈いたします。
皆さま、今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
辰巳泰子拝