歌人・辰巳泰子の公式ブログ

2019年4月1日以降、こちらが公式ページとなります。旧の公式ホームページはプロバイダのサービスが終了します。

4.10 風見たかの巻、汗みづく

2016-04-25 22:41:27 | 日常
十吟半歌仙 風見たかの巻

興業始末

平成二十八年四月十日十六時 起首
同日二十一時 満尾

於 三鷹「戎」


《連衆》

徳永未来……回文作家。「回文平家物語」にて第16回自費出版文化賞特別賞、NHKほか各メディアで取り上げられる。

宮田斉……歌人。大岡山歌会主幹。

和里田幸男……歌人。新暦の会。法橋ひらくらと「五線譜もしくはストライプ」創刊。

根本洋輝……ネットゲーム、アニメ、音楽が好き。酒を愛し、短歌を詠む。

吉田慎司……中津箒職人。SICF(スパイラルインデペンデントクリエイターフェスティバル)準グランプリ、日本民藝館展入選 など。

寺井龍哉……歌人。東京大学大学院生。本郷短歌会、半月歌会所属。第32回現代短歌評論賞「うたと震災と私」。

辰巳泰子……歌人。月鞠の会主宰。

岡本胃斎……「かばん」購読会員。通称・連句テロリスト。

佐藤元紀……歌人。かばんの会、月鞠の会に所属。職域では現場を離れ現在、管理職。


宗匠 辰巳泰子
執筆 岡本胃斎
亭主 佐藤元紀


発句・春   吉祥をちりばめ光る風見たか  未来

脇・春   水面にさわぐ青柳のかげ  元紀

春   たゆたひて蕊をついばむ残り鴨  泰子

雑   たたき睨んで誰が箸突く  洋輝

秋の月   やっと立ち月を見つめて真白き子  慎司

秋   たうもろこしの畑とぶとぶ  幸男

秋   どこから片づけようか鰯雲  斉

回文・恋   西から東に来たか歌垣  未来

夏の恋   少年は瞑りたるまま汗みづく  龍哉

雑   ドラえもん三十三変化さす  泰子

雑   目出帽(めだしぼう)暗くなるほどさみしくて  幸男

冬   雨降る鍋の小さき穴より  斉

冬の月   跳ねたくて凍てたる月を蹴るうさぎ  よみ人しらず

雑   アポロの矢尻静寂(しじま)に潔(きよ)く  慎司

雑   鞭打つやひたいそがする夜の峠  元紀 

雑   われに逢ひたきひとをおもひて  龍哉

花   浮舟の流れに薫る藤と花  未来

挙句・春   鞠も地球もまはれ春嵐  胃斎



――――――興業不始末記

※一  開催前、表記を旧かなにすることで合意しました。「やっと立ち」の促音表記は、宗匠の捌きによります。「奴と立ち(やつと立ち)」と意味の区別をするため。

※二  開催前、巻き上げてからの改訂を原則しない方向でしたが、座ののち、13句、15句、17句めを興業サイドで話し合い、改訂しました。

※三  13句めの改訂について。13句めの初案は「僕跳ねず六花の月を見るうさぎ」。座中、「六花の」に疑義を呈しましたが、応じられなかったため、「跳ねたくて」と上句のみ直したものを、初心者御免ということで通しました。しかしながら、作者から、扱いについて不服の申し立てがあり、執筆からは、女性の賓客が詠むべき花の定座を奪う形となるのはいかにも悔やまれると、あらためての疑義が示されました。

※四  15句めは、初案「鞭打つや馬いそがする夜の峠」。13句めとの打越を避け、二句めを改訂。

※五  17句め花の定座は、13句めの全面改訂を経て、ここで正花をだすことになったので、「藤と花」に改訂。花といえば桜。わざわざ桜といわない。桜の花ともいわない。桜以外の植物の花は、正花ではない。半歌仙で、花の定座は、一つしかない。半歌仙に、一つしか出せない「花」は、ウェディングドレスのようなもの。

※六  上記一の但し書き、二~五の改訂をもちまして、「風見たかの巻」、興業不始末記といたします。


――――――連衆からの感想など

連歌初体験の私が「吉祥寺と三鷹」で発句とし、元紀さんが色鮮やかな 柳の風景に変えてくれた。
恋で「歌垣」を詠んだら宗匠から「暑苦しい。風通しよくして」とダメ 出し。
一句の中のバランスを考えねば。
龍哉さんが「瞑りたるまま汗みづく」と受けてくれて静かに風が通った。
斉さんの「鍋の穴」から覗く世界が新鮮。
連歌って蹴鞠だなと思っていたら、胃齋さんが「鞠も地球も」と挙句。
連歌は面白い。パタパタとパノラマがこまおくりされる。
(徳永未来)

初体験なりの感想を述べさせて戴くと、みんなで駅伝をやっている様な感覚でした。
季節や位置、地の利と不利をどう活かすか殺すか。
受ける襷をどう展開するか。
共同制作なのでリラックスは出来ますが、皆への敬意や見栄もある分、へばりたくもないし、出来るなら上手い事も言いたい。
日頃の体力やジャンプ力など、総合的に試される感覚でした。
ライブで反応が得られるのも、普段は味わえない魅力だと思います。
(吉田慎司)

心敬の「ささめごと」にある人の言葉として引かれてゐるのですが
「連歌は座になき時こそ連歌にて侍れ」
これが忘れられません。
(佐藤元紀)

序盤は一座おそるおそるだったが、「たうもろこしの畑とぶとぶ」あたりから急激に面白くなってきた。
「規則はあるけれど、逆に言えばそれ以外何でもやっていいということだから」と佐藤元紀さんが言ってくださった。
「夏の恋」の五七五を辰巳泰子さんが極彩色の夢に変換し、「雑」の七七に徳永未来さんがおもたく華を添える。
卓上の「たたき」から回る「地球」まで、三鷹の居酒屋から別乾坤が立ちあがった。
(寺井龍哉)

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お願い

2016-04-19 08:59:33 | 日常
4.10連句、ご参加の方にお願いです。

各位、簡単なプロフィールと、連句の感想を、お寄せください。


各位、公開なさっている情報に沿って、各位のプロフィールを、ざっとこちらで用意し、メールします。
そこに赤入れと、連句のご感想とを、ご返信ください。

感想の内容は、創作上の苦心、また、他の人の句で、感心した点など。

報告を読んだ人に、その場の空気の伝わるものにしたいので、内輪向けでないほうがいいです。
ですから、「ありがとうございます」と「たのしかったです」は、ナシでお願いします。

100字から200字で。

感想の提出は、全員にいただければありがたいですが、全員でなくても、できるだけということで、お願いします。

いただいたものをとりまとめ、4月中には、公開したく思います。


岡本さんは、少しゆっくりしていてください。

熊本地震と重なって、ご法事で西日本へ向かわれ、往復の混雑、並大抵でなかったでしょう。
大変にお疲れと拝察いたします。

皆さんは、感想をまとめていてくださいね。

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4.10半歌仙の会 告知とご案内

2016-04-03 17:17:34 | 日常
いよいよ近づきました。4.10連句、お花見興業。

10名ほどで、半歌仙を巻きます。歳時記、もしくは、季語検索できるご用意をお願いします。

連衆2名を公募しています。経験不問。酒乱でないことが、条件。
(公募は、締め切りました。4月8日記す)

また、メディア関係の方の、ご見学を歓迎します。

下記の催しに興味のある方は、tatumiliveあっとまーくyahooどっとcoどっとjp まで、ご連絡をください。


●現時点でのご参加者名簿(アイウエオ順)

岡本淳、佐藤元紀、辰巳泰子、寺井龍哉、徳永未来、根本洋輝、吉田慎司、和里田幸男。


●タイムテーブル

日時
4月10日(日)

14:00
JR京王吉祥寺駅に集合(場所詳細は個別にお知らせ、以下同)

井の頭公園の弁天池から、御茶ノ水の湧水、公園を出て玉川上水に沿い、太宰治の入水場所をとおって、連句会場へ。

遠足のようですが……。
三鷹の名所案内を兼ねます。
吟行のネタ帳となりますように。

15:30
連句会場着

鳥さし、馬さし、博多もつ鍋のおいしい店の個室を借りられました。
すぐ宴会ではなく、ゆるっと、飲みもの、軽食が出てきます。

連句は、半歌仙。全員で、18句を詠みます。
短冊に書き、宗匠(辰巳)に提出、オッケーがでたら、執筆(岡本)に回り、記帳されます。

19:30
巻き上がり

20:00
解散


●式目

大ルールとしては、

○森羅万象を偏りなく詠みこむ。
○輪廻、観音開きを避ける。
○一つの季節のなかで、初春、中春、晩春の時系列を保つ。
○定座の花月は、観念、象徴の表現。
○初折の表(半歌仙では初めの六句)に、無常、宗教、恋を出さない。七句以降を裏といい、裏には出してもかまわない。
○場を詠みこむ。

その会なりのルールとしては、

○席順に詠んで、呻吟するようなら、宗匠判断で、出勝ち(早いもの勝ち)、合作あり。
○あとで式目を外していたのがわかっても、流れでそうなったものを、失敗、粗相とはいわない。
○半歌仙ぜんたいで、合作アートという考えでいます。


●会費

3000円(会場飲食代。これ以上は頂戴しません)


●予行演習(半歌仙の巻、参考資料)

両吟歌仙 ばらばらりの巻 興業始末
平成二十八年三月一日零時三十分 起首
同日 三時十一分 満尾

於 よつ葉
連衆 辰巳泰子 岡本胃斎

発句春   ばらばらり降るものありて雛近し   泰子

脇春   羽根三つ残りゐる鷹の巣   胃斎

第三春   春の暮れ母の手拭ひ風にゆれ   泰子

雑   ペットボトルを透かしてみれば   胃斎
 
秋の月  らりぱっぱ弾くや残んの月の弦   泰子

秋   露霜おきて何処へゆかう   胃斎

秋   南アメリカ大陸のかたち秋落ち葉   泰子

恋   貝合はせならわたしは好きよ   泰子

恋   皇帝の刃に酒を滴らせ   胃斎

恋   冷たい太陽が沈みゆく   泰子

雑   R2‐D2 C‐3P0 何する人?   胃斎

雑   工場長の紺のジャンパー   胃斎

夏の月  大月にて降りたことなし緑陰   泰子     

雑   かくしつつかくしつつゆくゆりかもめ   泰子

冬   乾鮭の腹はかくまで空っぽで   胃斎

冬   一本足で薄ら氷を踏み   胃斎

花   花の雲ふりさけみれば青空が   泰子     

挙句春   ゆくての春のよつ葉かはゆし   胃泰

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スミレ、今年のお初

2016-04-01 23:30:05 | 日常
携帯電話が、入院していました。修理に、2週間近くかかりました。
あす、戻ってきます。

ほとんど、職場と家の人としか、やり取りのない携帯電話ですが、そのあいだ、代用機の扱いがわからず、返信おそろか。
でも、代用機は、写真だけは、とってもきれいに撮れて、これがそう。



わが家のベランダで、二年めのお初です。
アツバスミレ。

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