歌人・辰巳泰子の公式ブログ

2019年4月1日以降、こちらが公式ページとなります。旧の公式ホームページはプロバイダのサービスが終了します。

略歴(随時更新)

2022-09-30 20:12:33 | 略歴
《歌集、単著》
『紅い花』(砂子屋書房、1989年)
『アトム・ハート・マザー』(雁書館、1995年)
『仙川心中』(砂子屋書房、1998年)
『恐山からの手紙』(ながらみ書房、2000年)
『セイレーン』(邑書林、2005年)
『辰巳泰子集』(邑書林、2008年)
短歌朗読DVD『聖夜 - 短歌朗読ライブ -』(ロフトシネマ、2008年)
『いっしょにお茶を』(沖積舎、2012年)。


《共著、アンソロジー収録など》
『短歌俳句同時入門』(東洋経済新報社)、
『講談社学術文庫 現代の短歌』(講談社)、
『新星十人』(立風書房)、
「現代短歌大事典」(三省堂)、
『女性作家シリーズ24  現代詩歌集』(角川書店)、
『展望 現代の詩歌』(明治書院)など多数。


《講演、対談、コラボなど》
1995年、NTT東日本社内報編集者研修にて講演。
2000年、国立西洋美術館主催の展覧会「西美をうたう: 短歌と美術が出会うとき」の出展歌人に選ばれる。
2003年、UIゼンセン同盟、夏季研修にて講演。
2006年、 信濃毎日新聞社主催の信毎女性セミナー各会場にて講演。
2007年、詩吟CD「新吟詠にっぽんの心7」(にっぽん吟と舞の会、日本コロムビア)に書き下ろし新体詩「さくらんぼ」を提供。
2008年、世界詩歌へのフリーポート「東京ポエトリーフェスティバル2008」に参加。日本の代表詩人の一人として、歌人では岡野弘彦氏、福島泰樹氏らとともに、自作の短歌を朗読する。
2008年、「ジャズ専門インターネットTV You Play JAZZ?」の「JAZZ座談会特別企画【最終回】ジャンルの異なる2人の表現者の対談」にてジャズピアニスト佐藤允彦氏と対談。
2015年、共同通信社と三省堂の共同事業「書評大全」に、竹西寛子氏の『陸は海より悲しきものを 歌の与謝野晶子』について述べた書評が収録される。
2016年、群馬県立土屋文明記念文学館の企画展「現代女性歌人展」(2016年)の30人に選ばれる。
2018年、東京六稜倶楽部にて講演と短歌朗読「短歌朗読――無常の風に抵抗して」。青春の読書について講演。


《受賞など》
第一歌集『紅い花』にて、第34回現代歌人協会賞。


《その他》
文部科学省検定教科書「展開 現代文」「国語総合」(桐原書店)にて、短歌作品が高校生の国語教材となる。平成14年改訂。平成18年改訂。


《主宰誌など》
不定期刊「月鞠」にて、百首歌、小説、歌論、古典研究などを発表中。



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元気にしています。

2022-09-22 17:09:24 | 日常

元気にしています。
9月19日、56歳と9ヶ月の私です。






数日前に、近所の公園で撮った写真をアップしました。

ご異動、ご退職のお知らせなどをいただいております。
わが家も、来月から新生活となります。急に決まったことなので、あまりに慌ただしく、ほうぼうに不義理をしています。
落ち着いたら、ご連絡を差し上げたいと思います。
落ち着かなかったら、どうしよう……。

不安でいっぱい!

でも、私たちの新生活は、誰に知らせても、「よかったですね!」と言われることだと思います。




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An Atom(補足記事)

2022-09-21 12:26:18 | 短歌(旧ホームページから移転の過去記事)
An Atom  原子

by Yasuko Tatsumi 辰巳泰子
English translation by Hideaki Matsuoka & Jack Galmitz
/英訳 松岡秀明 & ジャック・ガルミッツ



At the peak of labor pains
I cursed;
all men should die
at war.

おとこらは みな せんそうに しねよとて じんつうの きわみ われは にくみいき


At noon
simmering a pinch of rice
Rain starts pouring
more silently than
babys breathing.

Turns over
in his sleep showing Mongolian spot
in blue;
The baby has back
though it is small….

What was smaller than breast
was babys head.
And
his wrist was thinner
than his fathers thumb.

The darkness
seems clinging
to his soul;
my infant closes his eyes
biting a nipple.

Suckle!
quickly and strongly
as my two breast are hurting
as if they were competing with each other
in this midnight.

I had recognized myself
as drunken mud;
Why did they let me bear
a flower
in the heaven?

ひとつまみの こくにて まひる くらみゆき この ねいきより かそかなる
あめ

もうこはん あおきを みせて ねがえれば ちいさきながら せなかを もてり

ちぶさより ちいさかりしは その あたま ととの おやゆびの ふとさに てくび

ひったりと やみが あうらを すうらしく ちくび かむ こは めを つぶり おり

はよう ちち すえ もっと ちち すえ きそうごと つのる ふかよの いたみ ふたふさ

みずからを えいたる どろと しりこしに なぜ てんじょうの はなを あれしむ


In the wind
I am remembering a woman
in atomic bomb record
who gave her skin-lost breasts
to her suckling!

Under the mid-day sun
lattice doors
make endless shadows
All of sudden
I remember The Death March.

I put a summer hat
down over the eyes of my baby
since in this world
there only exit things
that I dont want to let my baby see.

Air force plane
in a picture book
flies
and burns out
the forest of a sleepig child.

ひばくきろくに ひふなき それを あたうる ありと ちのみご だきて かぜの なか おもう

えんちゅうに つづく こうしの かげもよう しの こうしんを ふとも おもえり

なつぼうし まぶかく あこに かぶらしむ このよ みせたく なきもの ばかり

えほんに ありし ぐんようき ゆき おさなごの ひるの うまいの もりを やきつくす


The freezing night
what God bestowed on me
was not you
but sad and painful sentiment
about you.

In the dawn
I cannot sleep thinking of Somalia.
My existence is heavy
and also…
vain.

かの とうや かみの たびしは きみならず きみの めぐりの せつなさばかり

ソマリアを おもう あかとき ねむられぬ わが そんざいも おもたく はかな


A day in which humans are killing each other
there is a swallow
crossing over a sea
fly,
dont look down!

にんげんら ほふりあう ひも うみわたる つばくらめ あり ちを みずに とべ


On the street
oranges are piled
over a family
pours
asid rain.

Without recognizing night and day
I stay guarding a child
who stretches arms and feet
as if these were
drooping flowers.

Look!
There is fliyng
the fluff of a dandelion
I cannot stop
loving you.

When you grown up
with heavy bones
and thick chest
let me hold you
like this way.

おうらいは みかん つみおり ひとかぞく つつめるごとく ふる さんせいう

あいするほか あらざりしかば たんぽぽの わたげの たびを めに うつしやる

ほね ふとく むね たくましく そだつとも かく いだかせよ わが しの きわに


The place of feces,
urine,wound and blood
from where life comes
where a boy
does not know.

ふんにょうと きずと ちと いのちの ひとところ とわに しること なき おのこなり


I cant stop
imaging distant war
in red
At the end of mother and child
there should be mothers milk.

Evening glow
is red
because the pain of earth
is reviving;
War I learned is what I cannnot teach.

あかあかと とおき せんそう おもわれぬ ははこの いまわ ちちが あるべし

ちの いたみ かえるがに あかき ゆうやけよ おそわりて おしええざる せんそう


Neither sweet fruit nor flower,
boys are competig with each other
over their height
since
they are annual plants.

あまき じつ かおる はなより たけ きそう げに おのことは いちねんそうか


I lost my life without a child
now
I have a child…
like loose bag
that carries sadness.

つらぬきて こを もたぬ せい もはや なく だぶだぶと せつなさの ふくろの ごとき こ


帰鳥啼悲都
照月想寒膚
赤貧死別歌
戦争不悪乎!



―――――――

注記
本作は、世界詩歌へのフリーポート、東京ポエトリーフェスティバル2008の舞台において朗読させていただいた拙作を、分かち書きのかな表記としたものです。

出典は拙著『アトム・ハート・マザー』。辰巳泰子の第2歌集。最後に付した漢詩は、このイベントのための書き下ろし。「心の花」の歌人、医師であり文化人類学博士でもある松岡秀明さんが、このイベントのために英訳してくださいました。




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「はばたく音」についての追記

2022-09-18 13:43:11 | 作詞
追記

9月18日、作詞その1「はばたく音(おん)」の2連め、「うつせみ色の翼」だったところ、「かわせみ色の翼」に差し替えました。

この詞の着想は、私自身が、身近な人を看護した経験によるもので、本人も私もつらかった時間が長く、この詞を温めている期間には、痛みのほうが生々しかったのです。しかし、こうして公開してみると、私はこの詞が、心身の傷ふかき若者たちや子供たち、さまざまな世代の、再生を願う人々の苦闘を見守る、天使の歌、クシティガルバとなればよいなと思うに至りました。

私たちは、かわせみほど美しい鳥を、熱帯に行かずして、日常に見かけることがありましょうか。私の住む町の、散歩道の一つである仙川の堤の、コンクリートの穴に、かわせみは、本当に住んでいました。息を呑むほど美しい翼が、まっすぐ視界を横切ったとき、私はとっさに、自分の目の玉を斬られたと思ったほどでした。

じつは、制作中にも、うつせみか、かわせみかで、悩んでいました。ですので、変更を急に思い立ったというよりは、この詞をわが身から切り離し、この世の、かわせみ色の翼を持つ魂のために、ことばとして送り出す決意が、ようやくついたということです。

差し替え個所のご報告でした。



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当ブログについて

2022-09-17 15:47:11 | 当ブログについて
皆さん、アクセスをありがとうございます。

この公式ブログが公式になったのは、ここ2、3年の間のことです。
ヤフーのホームページ制作の無料サービスが終了するという、野暮な理由でこちらを公式としましたが、その前、ここのブログは、英作文の勉強に使ったりもしており、他の人を容れることがまずないので、記事を項目に分けてもおらず、そのままでは見づらいと思います。時間のあるときに、整理しようと思うのですが、まずは、ごめんください。

当ブログで、短歌作品を読みたい方は、「百首歌」でブログ内を検索すると、ある程度は読めます。ただし、字面が同じでも、現代語と読み方が違う歌ことばに、ルビ振りがあまりないうえ、特殊な言葉もあって、読みづらいかと思うのです。こちらについても、ご寛容ください。

お探しのものが、単行本収録の作品、商業文芸誌に掲載した作品である場合は、ここにはないかもしれません。
ご自身のご興味として、単行本収録、商業誌発表の作品を読まれたい方は、当該媒体をお買い求めいただければ、幸いです。

ウェブ発信には、ツイッターもあります。ただし、私のツイッターは、このブログにアップするさらに前の段階の雑記帳であり、草稿メモ、食べたものや体調の記録、買い物メモなどとなっており、何といっても、ただひとえに、ごく私的なスペースですから、付箋のように、気兼ねなく書き留めています。そして、湧き出るままに書き留めたもののなかからアイデアになりそうなものを、あらためて記事にしたりもします。たとえば、このブログにアップしてある古今和歌集、新古今和歌集についての記事は、そのほとんどが、もとはツイッターでの投稿です。

ここ最近では、ブログに作詞をアップしています。物語、詩歌など、純粋に創作物であるときには、ツイッターではなく、無料の日記アプリに下書きをしています。

物書きは、実際の作品が無いと、どんな話も始まりませんので、作品の用意が、どんなことよりも先なのです。無いことには、始まらないし、ありさえすれば、どうとでも動けます。

言わずもがなですが、無断転載、無断引用は一切、ご遠慮願います。コピーペーストではなくリンクをしていただければ、幸いです。



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つきあかり(作詞その2)

2022-09-15 12:27:16 | 作詞
つきあかり

辰巳泰子

窓からのぞく
つきあかり
つきあかり
眠るあなたに
届いてる

そしてあなたは
よくわらう
よくわらう
誰と遊ぶの
夢の中

ふるさとの
森のかおり
夜になると
近づきくる

川の色は
空とひとつ
せせらぎ きよら
はじけてる

とうさんも
かあさんも
あなたのそばに ずっといる

やらやららら
ねんねんころ
やらやららら
ねんねんころ


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はばたく音(作詞その1)

2022-09-11 16:00:08 | 作詞
はばたく音(おん)

辰巳泰子

きれいなうそを つけぬあなた
たぎる炎(ほむら)に 嘴(くち)を焼かれ
なくさぬ者の 小賢しさを
ちっと吐き捨て 狐火ゆれた

折られてこころ そよぐあなた
傷は膿みはて 石に横たい
誰もとれぬ 月を浮かべ
若き日々 ぽとり
頬を伝った


夢の中 ひとり はばたく音(おん)
いつか癒える その日くると


播かれた場所を にくむあなた
かわせみ色の 翼かざし
おなじ痛み 分かつ私
扉あける 刹那おそれた

いのちの意味を 問いつづける
何かが裂けて壊れて墜ちて
それでも天よ あなた守れと
風にまぎれ そわか
祈れる言葉


愛して愛して ほほえみ汲んだ
永遠(とわ)の泉 胸に抱かん

愛して愛して ほほえみ汲んだ
永遠(とわ)の泉 胸に抱かん




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