歌人・辰巳泰子の公式ブログ

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月鞠ウェブ歌会(2014.1.1~1.3)

2014-01-01 21:46:38 | 日常
現在、ウェブ歌会開催中!
詠草をご一読になったのち、コメント閲覧、ご投稿をお願いします。



●進行

☆参加者はまず、一人3首選。(作品と関係ない、投稿見本を示しました)
☆参加者からの批評があらかた示されてから、ギャラリーからのご発言を、お願いします。
☆作者明かしは、終盤、司会のほうからいたします。
☆いま力を入れている活動など、プレゼンしたいことのある方は、作者明かしの後で、お願いします。
☆詳細は、前記事をご覧ください。
☆コメントの閲覧とご投稿は、記事の右下にある、コメントをクリックしてください。
(投稿者名、件名だけで投稿できますが、長考するなど画面をひらきっぱなしにすると、4桁数字を何度も記入しないといけないかもしれません。お手数おかけします(*_*;)

●詠草

1 ペイルブルーの空ひとしずく胸病めば春は北から来る心地する

2 熱帯魚見つめるときの無口さで先生のようなひとに逢いにゆく

3 毎日を残さずにふる雪にサブリミナルのように食べるシリアル

4 十五年新たな友はできなくて夫の姓はさびしい名前

5 しおからい頬のあなたがはりつめて大人のことばを聴こうとしている

6 小雪散るコンビニへの道ポケットの中でつないだ手が暖かい

7 おおみそかかくれてふたりいただいたかずのこおいしゅうございましたね

8 今宵また雪ふる胸の水面に角折れた馬走らせてゐる

9 天使でもゐたのだらうか陽射しあるトイレの中を見回している

10 ひとひ生くるよすがなるべし霜月の朝陽にしろき納豆の糸

11 この浜に車を停めて歩きだす日は暮れ Freedom, justice in Syria

12 冬ざれやしてはならないくちづけの長き影ふたつわたる宇治橋

13 勢いで言ってしまった「サヨナラ」が恋を見つけた今でも痛い

14 紅色の甲殻の脚刃にひらき肉しろければ口にすすりぬ


●参加者は、以下8名。(順不同)

七篠空
大石直孝
瀧口康嗣
小原更子
とみいえひろこ
和里田幸男
佐藤元紀
辰巳泰子


●選歌の結果
1……2点(和里田、大石)
2……3点(佐藤、和里田、大石)
3……1点(とみいえ)
4……2点(瀧口、七篠)
5……4点(佐藤、和里田、七篠、大石)
6……1点(辰巳)
7……1点(とみいえ)
8……2点(佐藤、辰巳)
9……1点(小原)
10……2点(小原、とみいえ)
11……1点(辰巳)
12……1点(瀧口)
13……0点
14……3点(小原、瀧口、七篠)

●詠草の作者
1辰巳泰子/2とみいえひろこ/3和里田幸男/4小原更子/5とみいえひろこ/6七篠空/7瀧口康嗣/8大石直孝/9和里田幸男/10佐藤元紀/11瀧口康嗣/12佐藤元紀/13七篠空/14大石直孝
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85 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
開会の言(幹事から) (佐藤元紀)
2014-01-01 21:57:27
「月鞠」ウェブ歌会を始めます。
出詠者と詠草への敬意に裏打ちされた
誠実な読みと発言をお願ひします。
内輪褒めにおはるのでもなく
否定に帰着するだけでもなく
参加者それぞれの今後の作歌活動に
一点の灯りをともす議論を期待してゐます。
それでは、よろしくおねがひします。
返信する
投稿見本 (辰巳泰子)
2014-01-01 22:09:24
司会進行の辰巳です。それでは、どなたからでもかまいませんので、選歌をお願いします。

例)
1、2、3を選びました。
1は、エッチな感じがしていいと思いました。しかし、○○という言い方を、一般にするでしょうか。短歌だから、こういう表現になるのでしょうか。皆さんのご意見を伺いたく思います。

2は、共感できました。
しかし、これだったら自分が作ればよかったというか、自分にはできない、してやられたというような、新味が欲しいとも思いました。

3は、第一印象、目立とうとしている感じが、イヤだなぁと思いました。
しかし、自分にはできないと思ったので、買いました。

皆さんは、どのようにお感じでしょうか。

…………

辰巳は、一応、主宰なので、自分の選歌は、最後に書きますね。

では皆さん、コメントをクリック!
返信する
選歌 (佐藤元紀)
2014-01-01 23:09:53
2・5・8を選びました。
2は第四句をどうとらへるかで悩むところですが
上句の美しさが印象に残りました。
その無口さが逢ひにゆく相手への懸想を示してゐるやうです。
5は腰が説明になつてゐるといふ評もでるかと思ひます。
ただ大人に叱られて泣いた後の子供の様が
上二句に的確に表されてゐて
その腰の「はりつめて」が際立ちます。
8は一角獣を出してもだもだの内面を表してゐると読みました。
解毒の角が折れてゐるところが鑰かとおもひます。
皆様のご意見をうかがひたくおもひます。
よろしくおねがひします。
返信する
選歌 (和里田幸男)
2014-01-01 23:41:38
1:ペイルブルーの空ひとしずく胸病めば春は北から来る心地する
2:熱帯魚見つめるときの無口さで先生のようなひとに逢いにゆく
5:しおからい頬のあなたがはりつめて大人のことばを聴こうとしている


1は北から春が北から来るという発想が効いているかと思いました。静かな歌ですね。
2は不思議さが余韻のように残る魅力がありました。「熱帯魚を見つめるときの無口さ」も「先生のような人」も判然としないけれど、心に残るものがあります。
5は技術的上手さが光っていると思います。5.大人のことばと、視点を変えた表現が良かったです。
返信する
選歌 (小原更子)
2014-01-02 00:16:53
9,10,14を選びました。
9 「天使」のイメージの聖性と「トイレ」という汚濁のとりあわせがこの歌の魅力だと思います。イメージの方向性が正反対の二つの言葉が「陽射しある」という言葉でうまく無理なくつながっていて、新鮮に感じました。楽しい歌だと思います。
10 上の句で心情を詠い下の句で情景を描写する構成の歌ですが、下の句の冷たく清潔な感じに魅かれました。下の句に「霜月」の「し」、「朝陽」の「さ」、「しろき」の「し」と、鋭いエスの音が三度あることが清潔な印象を強めているように思います。
14 一首通して情景描写の歌です。心情描写をせず、少し無愛想なくらい描写に徹しているところが、もくもくと食べている様子を鮮やかに切り取ることに寄与していると思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (瀧口康嗣)
2014-01-02 01:56:22
あけましておめでとうございます。瀧口と申します。
歌会に参加される皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

私は4、12、14を選びました。

4は、下句に驚きました。「夫の姓はさびしい」と言い切る作中主体に、男性にはない女性特有の意思が表れていると思いました。
12は、濃密な物語性に惹かれました。喚起力の強い語彙が続く中、最後の固有名詞が効果的と思うか、過剰と思うか、他の方のご意見をお聞きしてみたいです。
14は、蟹を食べている場面の歌だと思いますが、なんだか不気味でした。上句の即物的な描写も、下句「肉しろければ」とわざわざ書いてあるところも、鬼の行為を見ているような怖さを感じました。
返信する
選歌 (七篠 空)
2014-01-02 02:17:41
4:十五年新たな友はできなくて夫の姓はさびしい名前
5:しおからい頬のあなたがはりつめて大人のことばを聴こうとしている
14:紅色の甲殻の脚刃にひらき肉しろければ口にすすりぬ
を選びました。


4:身につまされるその『さびしさ』をひしと感じる歌で好きです。
ただ下の句で《姓》と《名前》2つ重なっているのに少し違和感。《姓》に対して『さびしさ』を強調する別の何かが来ればもっとグッと来る気がするんですが皆さんのご意見はいかがですか?

5:真っ直ぐに読めば『叱られた子供』と見えますが、あえて曲解して。
不倫か、はたまた別れ話か、真実とは到底思えない《大人のことば》を投げかける男と女。いづれも情を断ち切れないでいる姿。そんな歌にも読め、愛・情・憎をとても上手く表現されている歌だなぁと感じました。

14:これを読んでまず思ったのが「カニ喰いてぇ!」でした(笑)
先に小原さんも書いていらっしゃいますが、心理描写が一切織り込まれておらず「こんなのアリなんですか??」と戸惑いました。が、自分には絶対できない表現だなと感じた事と、鮮烈にその映像をイメージさせる共感力に惹かれ選びました。
返信する
選歌 (とみいえひろこ)
2014-01-02 06:58:50
3:毎日を残さずにふる雪にサブリミナルのように食べるシリアル
7:おおみそかかくれてふたりいただいたかずのこおいしゅうございましたね
10:ひとひ生くるよすがなるべし霜月の朝陽にしろき納豆の糸

3:読後、シリアルのサクサクサクという静かな音だけが、不気味さや閉塞感をともなった余韻として残ります。「サブリミナル」と「シリアル」の響き合いはなんとなくニヒルな印象です。上句、毎日降る雪が、その静けさで生活のノイズを残さずすべて埋めてしまうという意味ととりました。果てしなく単調な雪国での生活、それを受け入れながら生きているひとの営みを思いました。

7:なんだかこわいです…。でもとてもきれいな日本語。すべてひらがなというインパクトも効いています。秘密の関係なのでしょう。深く静かな恨みも立ち上ってくる、不思議な歌。

10:納豆の糸の描写が美しいです。「よすが」から芥川の書いた蜘蛛の糸も想起させますね。歌意もわたしはとても共感できます。少し寒い朝の納豆。床に触れる足裏の冷たさ、厳しい季節へ向かっていく覚悟のようなもの、繊細でまっすぐな生き方が伝わってきました。
返信する
選歌 (大石直孝)
2014-01-02 07:18:48
出遅れました。皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
1、2、5を選びました。

1 ペイルブルーの空ひとしずく胸病めば春は北から来る心地する
2 熱帯魚見つめるときの無口さで先生のようなひとに逢いにゆく
5 しおからい頬のあなたがはりつめて大人のことばを聴こうとしている

1は「春は北から来る」という発想に惹かれました。
ただ、結句の「心地する」は無いほうが、より端的な表現になるのではないかと感じます。。
また、胸を病んでいるという状況において、「ペイルブルーの空ひとしずく」の音の明るさがマッチするのかどうか。この点、皆さんのお考えを聞きたいと思いました。

2は上句の比喩がきちんとしていますし、全体の構成に揺らぎがなく、好もしく思いました。
「先生のような」をあいまいに感じる方もあるかもしれませんが、私はむしろこの「ような」というおおまかな把握が好きです。

5は「しおからい頬」という表現に惹かれました。
一方、「あなた」は不要だとも思います。「しおからい頬」だけで一人の主体が確立できるのではないでしょうか。
これを削ることによって、聞いている主体の属性(たとえばこどもなのか大人なのか)をはっきりさせる言葉をいれられると思います。
もうひとつ「聴く」という漢字は、どちらかというと純粋に音を聴くときに用いられる傾向があるので、「聞く」という字のほうがこの歌には合っているのではないかと思いました。
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Unknown (とみいえひろこ)
2014-01-02 10:54:28
4番について
独特の雰囲気があって気になっていました。七篠さまが「ただ下の句で《姓》と《名前》2つ重なっているのに少し違和感。」と書かれていたこと、確かに、と思いました。でも、ここにこの歌の雰囲気が宿っているのかもしれません。「さびしい名前」という言い方に優しさや静けさがこもっているようです。いつも、誰にでも「○○さん」と呼ばれるのでしょうね。妻である主体だけは夫の「さびしい名前」以外のものを知っているという意味もこめられているように感じました。「さびしい人」と言い切ってしまうような妻ではない。そこが魅力的です。
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