三吟半歌仙 ちはやふるの巻
興業始末
平成二十八年五月十五日十六時 起首
同日二十時 満尾
於 神田「魚えん」
《連衆》
佐藤元紀
岡本胃斎
辰巳泰子
宗匠 辰巳泰子
執筆 岡本胃斎
発句・夏 ちはやふる神田祭やそらのあを 元紀
脇・夏 ぶるぶるどうどう青葉闇 泰子
雑 iPhoneの画面をこすりなぞりゐて 胃斎
雑 うらめづらしきおひょうの皿盛 元紀
秋の月 逃げきつて逃げきつてなほ名月の 泰子
秋 城穴に露二ツ三ツ四ツ 胃斎
秋 をちこちに不知火いくつ立つ風に 元紀
恋 粧ひいまだととのはぬかな 泰子
恋・雑 ピラミッド鏡のなかにそびえたち 胃斎
雑 深き祈りに爪光りつつ 元紀
雑 降りてのちストロンチウム半減期 泰子
雑 ウオッカの槽(ふね)日本酒の瓶(かめ) 胃斎
冬の月 澄みながらゆるるさゆるる月を干し 元紀
雑 新幹線熊本へ急ぐか 泰子
雑 いにしへのヤマトタケルも男の娘(こ) 胃斎
恋 愛(め)での盛りの指ぞおぼゆる 元紀
花 幹裂けて花のふるへて生ひ出でつ 泰子
挙句・春 霞の海にはるか極東 胃斎
――――――興業始末記
※1 いろいろあって、わたし、元気がなかったのですが、お二人が座をしつらえてくださって、こころから和みました。厚く御礼申し上げます。
※2 拗音とカタカナ語を、新かな表記としました。
※3 十三句め、初案「澄みながら揺るる冴ゆるる月を干す」。作者希望によって改訂しました。
※4 十五句めから挙句へ至る流れに、盛り上がりました。三句めは初案「iPhoneの画面を指でなぞりゐて」。宗匠としては、十六句めと「指」のかぶりが気になりました。花の呼び出しが恋句になるのは、避けたいことですが、満座の盛り上がりを受けてこの「花」になったので、iPhoneのほうの「指」に、ご再考をお願いしたほうが、仕上がりが自然かと、相談しました。
※5 ※4の相談のうえ、三句めを改訂しました。三句め初案に何の瑕疵もなかったのですが、わたしのわがままです。執筆の度量に感謝。
※6 五句めを改訂しました。初案「逃げきつて逃げきつてなほ名月や」。
興業始末
平成二十八年五月十五日十六時 起首
同日二十時 満尾
於 神田「魚えん」
《連衆》
佐藤元紀
岡本胃斎
辰巳泰子
宗匠 辰巳泰子
執筆 岡本胃斎
発句・夏 ちはやふる神田祭やそらのあを 元紀
脇・夏 ぶるぶるどうどう青葉闇 泰子
雑 iPhoneの画面をこすりなぞりゐて 胃斎
雑 うらめづらしきおひょうの皿盛 元紀
秋の月 逃げきつて逃げきつてなほ名月の 泰子
秋 城穴に露二ツ三ツ四ツ 胃斎
秋 をちこちに不知火いくつ立つ風に 元紀
恋 粧ひいまだととのはぬかな 泰子
恋・雑 ピラミッド鏡のなかにそびえたち 胃斎
雑 深き祈りに爪光りつつ 元紀
雑 降りてのちストロンチウム半減期 泰子
雑 ウオッカの槽(ふね)日本酒の瓶(かめ) 胃斎
冬の月 澄みながらゆるるさゆるる月を干し 元紀
雑 新幹線熊本へ急ぐか 泰子
雑 いにしへのヤマトタケルも男の娘(こ) 胃斎
恋 愛(め)での盛りの指ぞおぼゆる 元紀
花 幹裂けて花のふるへて生ひ出でつ 泰子
挙句・春 霞の海にはるか極東 胃斎
――――――興業始末記
※1 いろいろあって、わたし、元気がなかったのですが、お二人が座をしつらえてくださって、こころから和みました。厚く御礼申し上げます。
※2 拗音とカタカナ語を、新かな表記としました。
※3 十三句め、初案「澄みながら揺るる冴ゆるる月を干す」。作者希望によって改訂しました。
※4 十五句めから挙句へ至る流れに、盛り上がりました。三句めは初案「iPhoneの画面を指でなぞりゐて」。宗匠としては、十六句めと「指」のかぶりが気になりました。花の呼び出しが恋句になるのは、避けたいことですが、満座の盛り上がりを受けてこの「花」になったので、iPhoneのほうの「指」に、ご再考をお願いしたほうが、仕上がりが自然かと、相談しました。
※5 ※4の相談のうえ、三句めを改訂しました。三句め初案に何の瑕疵もなかったのですが、わたしのわがままです。執筆の度量に感謝。
※6 五句めを改訂しました。初案「逃げきつて逃げきつてなほ名月や」。