インターネットの恩恵は数々あるが、私は2つの画期的なサービスを挙げたい。
ピンタレスト(Pinterest)は、物見高い私のような人間には、とても有益な写真画像の宝庫である。世界中の各地各時代に撮られた写真が日夜ピンナップされている。昔なら、一生かかっても収集できなかったであろう写真が、瞬く間に集まり、易々と分類できる。
インスタグラム(Instagram)が今の写真なら、ピンタレスト(Pinterest)は写真機が生まれてから今日に至るまでに撮られた、世界中の過去から現在に至る写真の集積庫である。分類・整理によっては、ノスタルジアのよすがとなり、また社会や歴史、風景・景観、民族・文化、民俗・風俗を知る上で、貴重な画像資料を提供してくれる。
日本の幕末を駆け抜けた有名な人々の風貌などは、これで皆知ることができ、親しみが湧いた。他方で、市井の無名の人々の写真にこそ、見応えのある画像を見出すことが多い。
戦前の戦意高揚ポスターや旧軍の戦闘機、軍艦など、探せばいくらでも出て来る。有名なNative Americanの各種族の酋長や戦士たちの風貌、ヨーロッパの城塞、帆船などなど、毎日ボードに新しいピンが増えていく。
少し前の時代だったら、図書館の棚にしかない文献の中の参考写真であった類の画像を、易々と自宅に居ながらにして覧ることができるのは、なんと便利なことだろう。そう言えば、今や当たり前に使っている検索エンジン、グーグルの便宜も、筆舌に尽くしがたい。
画像は、現実を一目で伝える力をもつ。他方内容そのものに迫力が無い映像は、編集やキャプションが優れていないと、冗長に感じてつい早送りをしたくなる。その点静止画の写真は一目瞭然、ただちに訴えかけるものをもっている。素人が撮ったものであっても、興味を喚起する力は強い。
もうひとつの画期的なサービスはYouTubeである。私の関心は、集録された世界各国の民族音楽と民族舞踊、そして民俗芸能の動画にある。
これらは、これまで目にすることも耳にすることも、極めて困難な分野だった。人々の関心が普遍的でないものは需要が生まれず、したがってビジネスの対象にならない。それらの映像は市場に供給されず、流通しなかった。
ところが、中近東、中央アジア、中欧、東欧の国々は、結婚式などの宴席で盛んに自分たちの民族音楽を奏で、新郎・新婦はじめ参列者がそれに合わせてステップを踏む。その宴席を撮った映像がYoutubeに投稿されて拡散する。
単に身内の挙式の宴を公開したい人々の願いが、結果として民族音楽を世界中に広めているのだ。演奏はプロバンド、踊りが日常生活と密着している参列者たちのダンスは、玄人裸足だ。
ウクライナやコーカサス地方の民族音楽や民族舞踊なんぞ、Youtubeで触れるまでは、知る術もなかった。
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