駐車場の橋のたもとに、期待していたシロバナカザグルマの花は無かった。昨年の今頃は、沢岸に点々と咲いていたのだが・・・・。
此処は蛇紋岩の山。蛇紋岩植生といわれる特有の植物群に、興味は尽きない。
林道を歩き始めると、トサミズキの特徴ある葉がよく目につく。林道から沢への傾斜が緩くなっているところで、カメラの三脚を伸ばしている人がいた。彼の目の前に、キンランが咲いていた。
そこから先はあちこちでキンランを見つけた。視点を地面に近づけなければ、花の形も分からないほど矮小なヒメハギも、至るところに咲いていた。
目当てのシロバナカザグルマは見られなかったが、ズミ(コナシ)の花を見つけたのは、予想外の成果だった。
バラ科リンゴ属のズミは湿原を好み、上高地や乗鞍、八ヶ岳、戦場ヶ原などでよく見る北方系の落葉樹。それでいて、北海道では多くない(近縁のエゾノコリンゴが優越)らしい。
本来の生育地では、10mにも達する。だが、此処のズミは樹高たかだか2m、矮化は植物が劣悪な環境で生き残るためのプリミティブな対応変化なのだろう。そう言えば、動物には、幼形成熟(ネオテニー)というものもあるそうだ。生物の環境変化への適応力というものは、想像を絶するものがある。 それにしても、蛇紋岩帯に遺されたズミは、稀少であるがゆえか際だって美しく見えた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます