道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

健やか

2019年09月18日 | 健康管理
健やかということは、心身が健康な状態にあるということ、即ち精神と肉体とが健全な状態に保たれていることだ。その基準で世の中を見渡して見ると、高齢者が健やかであることは甚だ稀である。何らかの疾病を抱え投薬を受けている。加齢に抗することは難しい。

生活習慣病という言葉は、長生きだった偉いお医者さんが造った語と聞いているが、この言葉は意味がよくわからない。生活習慣には良いものも悪いものもある。良い生活習慣は病を防ぐはずのものである。悪い生活習慣が病の要因だろう。

加齢が病の素因のひとつであることは、今日常識になっている。しかし高齢者にも健康な人は多い。この人たちは、病気を想って暮らしてはいないように見える。天命に従う潔さがある。

病気は不快で苦しく、誰でも避けたいものだが、姿なき病に怯えている状態もすでに病の予備軍である。加齢が原因の病気を早期発見し早期治療することに汲々としているのは、限りなく発病している状態に近いように思う。若い人はともかく、老人は早期に発見したところで、加齢に因るものなら完治はしない。悪化を食い止めるのが関の山だ。より長生きを求めたところで、数年の単位だろう。死は向こうから着々と近づいて来るのだから、逃れる術は無い。加齢が原因の諸々の病は、苦痛を取り除くことが最善の治療で、患者の側も快癒や完治を望んではいけない。

政治も経営も軍事も、実行組織の指揮に携わる人間は精神と肉体が共に健康でなくてはその任に相応しくない。一般に組織のトップは年齢が高いから、心身共に健全な人を見ることは稀だ。何らかの病気を抱えている。速やかに職を辞して、健康な後進に地位を禅譲しなければ、組織は健全性を欠いた、すなわち理解力と判断力の衰えた指揮者のもとで動くことになる。

就中政治家は、最も心身の健康が求められる職業ではないだろうか。修道者のように、ストイックなまでの生活習慣を実行している人でなければ、選良と呼ぶことはできないし、呼んではいけない。

アメリカのオバマ元大統領が好個のモデルだった。現大統領が失格なのは言うまでもない。快楽主義者は不健康を免れないから、はじめからリーダーたる資格が無い。総じてヨーロッパのプロテスタントの国々の宰相には、比較的健全な政治家が多い。先進国か否かの違いは、国民が選ぶ為政者の生活習慣を見ればわかる。

これは多数の命を預かる航空機の機長や船舶の船長を想えば納得できる。彼らの仕事は妥協を許さない。慢性病に罹患した機長はただちに地上勤務に、船長なら陸に揚がる。機能的な組織ほど、組織の長は健全であらねばならない。リーダーの心身の健康は、絶対の就務条件である。

最も多数の命に関わる者、それが政治家のトップである。彼が機長や船長より以上に健常を要求されるのは当然だ。選挙民であるわれわれも、日頃から候補者たちを厳密に観察して、健全な政治家を国政に送り出す生活習慣を身につけなければならない。









コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 了簡 | トップ | 栗の皮むき鋏 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿