道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

ブナ林の衰頽

2023年10月24日 | 自然観察
今年は熊との遭遇被害が例年より多いらしい。過去最高になるのだろうか?
気温の影響か?冷温帯落葉樹林の主要樹ブナの結実が今年は激減したようだ。主餌料が山に無くては、熊が人里に出没するのは避けられない。熊に遭遇すれば人が傷害されるし、果実など農作物の被害は拡大する一方だろう。だからといって殺害駆除は許されない。動物との共生あっての人間生活である。

ブナは本州では標高800〜1500mの冷涼を好む木だから、異常高温には弱い。地球温暖化の影響を、最も早くから強く受けている樹木の筆頭だろう。その結果として、ブナの結実不良が始まっているのではないか?

14年前に、たまたま山歩きで訪れた北遠の旧龍山村(現浜松市天竜区龍山)で、既に衰頽が始まっていた小規模な人工のブナ林を目撃し、近場のブナ - 道々の枝折として投稿した。暖地に珍しいブナの発見を欣ぶと同時に、その僅かなブナ林が消滅に向かっている徴候を見るのは辛いものがあった。其処のブナ林は、国内のブナ林の行く末を告げる指標だったかもしれない。

このまま漫然と、白神山地・大山・飯山その他各地の、貴重な自然遺産ブナ純林を、気候温暖化の下で衰頽させてよいのだろうか?
「世界自然遺産」に選定されるということは、その遺産の存続に、人類の叡智を集中して取り組むことではなかったか?
ブナ林の自然更新には結実が不可欠、急ぎ総合的な対策を講じないと、子孫に類い稀な自然遺産を遺せないと危惧するが、為政者たちには、問題として映っていないのだろうか?

熊と人間との共生には、人の側が知恵を出すしかない。毎年の熊被害の報道を聞く度に、因果関係に基づいた対策の必要性を痛感する。十年一日の如く、ニュース報道するだけなら誰でもできる。何を求めて報道するのか?報道機関の姿勢が糺されて然るべきである。

植物相・動物相が豊かな温帯落葉樹林帯は、いま紅葉が真っ盛り。この自然が破壊されることは、熊ばかりで無く、私たち列島の人間の生活が成り立たなくなることでもある。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 万葉の森公園7マコモ | トップ | 東海道新居(荒井)宿 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿