IRONNAより➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
皇室
眞子さまご婚約に増長する民進党、女性宮家は皇統の「禁じ手」である
『竹田恒泰』
『眞子内親王殿下のご婚約が報ぜられると、民進党は、安倍政権を揺さぶる新しいネタを得たと思ったのだろう。彼らは早速、天皇陛下の譲位の特例法の付帯決議に「女性宮家の創設」を明記することを賛成の条件とした。
そもそも女性宮家の話は、民主党政権下で野田総理が打ち上げたことだった。天皇陛下の心臓のバイパス手術の直後のことである。将来皇族が減少することで陛下のご公務が増えてしまうことは、陛下のご体調とお歳を鑑(かんが)みると問題であるとし、陛下のご負担軽減のために女性宮家を創設すべきと訴えたのは、野田総理その人である。
もしその考えが正しければ、今回の特例法によって天皇陛下の譲位で若き新天皇が立った場合、ご負担軽減自体が不要になるため、そもそも女性宮家は不要ということになる。
にもかかわらず、今般、女性宮家創設を約束しない限り、譲位特例法に賛成しないというのは、論理的に整合性が取れていない。
また、民進党で女性宮家を作ろうと躍起になっているのは、たとえば蓮舫代表であり、また参議院では白眞勲議員である。
私の懇意にしている自民党の参議院議員によると、白議員は、女性宮家を議論しない限り参議院憲法審査会は開催しないと述べているという。
皇室を重んじる者が皇室を守るべく発言しているならまだよい。
かたや二重国籍問題が未解決で、いずれの国にアイデンティティーがあるかどうかも不明な蓮舫代表、方や元朝鮮人で朝鮮日報の元東京支社長を務めた白議員が、一体どのような意図があって熱心に女性宮家を提案するのであろうか。彼らが本当に皇室のために意見を述べていると考えるのは、あまりに不自然であろう。
白議員の話が事実であるなら、民進党は、憲法九条改正の審議をするのと引き換えに、女性宮家を作ろうとしていることが分かる。つまり、女性宮家創設は、彼らにとってそれほど重大な課題ということになろう。
たしかに、将来的には皇族が減少し、皇位の安定的継承に問題が生じる可能性が高いことが危惧される。現在皇室には皇位を継承できる皇族男子は、若い世代には秋篠若宮殿下(悠仁親王殿下)のお一方のみである。
しかも、今後皇族がご誕生になるのは、若宮のご結婚の先まで待つ必要があり、また、女性皇族のご結婚によって、今後皇族は激減することが確実である。皇族が極端に減少すると、天皇の外国ご訪問やご不例などで、天皇の国事行為や公的行為を代行する皇族が不在になる恐れがある。
陛下のご不例の折には、皇太子殿下が国事行為の臨時代行者をお務めになり、また秋篠宮殿下が公的行為の一部をご名代としてお務めになったが、皇族の減少はそれを危うくする。
それだけではない。もし皇族が二人未満になると、皇室典範が規定する皇室会議が開けなくなる大問題が生じる可能性がある。
皇室会議とは、摂政の設置、皇位継承順位の変更、皇族男子の婚姻などを決議する機関で、三権の長をはじめ、皇族二名を含む十名の議員をもって構成される。もし、これが開けなくなると、皇室に関する重大事が決議不能に陥る。ところで、天皇は皇族ではないことも付言しておきたい。
ただし、火急といえども、若宮のご誕生により、皇統の危機は数十年遠のいたのであり、半年や一年程度で結論を必要とするものでもない。女性皇族は天皇の御公務を分担しているわけではないので、女性皇族の減少と、天皇陛下のご公務の増加は、基本的に関係はない。
いくら皇族が減少するとはいえ、皇族を確保するためにいかなる手段を講じてもよいわけではない。
皇室典範は、皇位は皇統に属する男系の男子が継承すると規定している。そのため、いくら女性宮家創設で皇族の頭数を確保しても、皇位を継承することが可能な「男系の男子」を確保したことにはならない。それでは何も解決していないに等しい。
ならば、戦後にGHQの指示によって皇籍を離れた旧皇族一族を活用することが先であろう。旧皇族を一部復帰させるか、あるいは既存の宮家が旧皇族から養子を取ることができるように法整備すべきである。
女性宮家創設とは、すなわち民間出身の男子を皇族に迎え入れることである。もしこれが現実のものとなれば、皇室の歴史上、初めて民間出身の男性が皇族の身分を取得することになる。
そして、その子や孫がなし崩し的に将来の天皇となった場合、男系継承の原則が崩され、初めて歴代天皇の男系の血筋を引かない天皇が誕生することになる。
女性宮家創設というのは一般人の耳に優しく響くだろう。しかし、女系天皇を容認する国民的合意なくして、女性宮家について論じるのは適切ではない。女性宮家創設の皮をかぶった女系天皇論にほかならず、将に「禁じ手」というべきである。
天皇の原理は、究極的には「血統」の原理である。天皇の基本原理が変更されたら、それは歴史的な天皇とは異なる原理の天皇に変化することを意味する。
その様に成立した新しい原理の天皇は、ある一定の人は認めるかもしれないが、また別のある一定の人は認めないことになる。非の打ち所のない天皇が、非の打ち所のある天皇に変化してしまうことが、最大の問題といえる。
人によっては認めあるいは認めないような天皇が、日本国の象徴、あるいは日本国民統合の象徴としての役割を全うすることは不可能であろう。
女性宮家は「皇室の終わりの始まり」であることを知ってほしい。ゆえに、民進党が九条とバーターにしてでも女性宮家を実現させようとしているのである。甘い言葉に騙されてはいけない。』
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竹田氏は民進党が特例法への賛成の条件としての付帯決議に女性宮家の創設を加えたことに強い違和感を表明しており、民進党が本気で皇室を潰そうとしていることに警鐘を鳴らしておられる。
皇統の弥栄を思う真っ当な国民はその危機を救う手立てが女性宮家創設ではないとの常識がネット、竹田氏を中心とする小林よしのり、井上達夫教授、等による朝生勢との論戦で広く浸透している。
竹田氏が言う様に女性宮家は2005年の小泉政権下で宮内庁長官となった羽毛田氏が2009年の民主党政権下で箍が外れ野田政権2011年10月に「宮内庁が、皇族女子による『女性宮家』創設の検討を、『火急の案件』として野田首相に要請したことが分かった」と読売がスクープしている。
蓮舫代表や白真勲の女性宮家創設を特例法に賛成するかたちでバーターとして滑り込ませたのは他でもない野田幹事長である。
『ハサミで煙が切れるか』
知る人ぞ知る昭和天皇がマッカーサーに向けて放ったお言葉である。煙を皇統、ハサミを占領軍に例えたものだが、11宮家を臣籍降下させた皇統への謀略が平成の世になって日本人の宮内庁長官がよもや煙を断ち切る暴挙に出るとは先帝陛下は思いもされなかっただろう。
血のスペアである11宮家の復活が不可能ならば皇室は無くなり、女性宮家創設でも同様なのである。
禁じ手を避け、旧宮家である竹田氏が拒絶する中残る10の宮家の意思確認が急がれるであろう。