
1で無効論が護憲派に利すると書いたが、この回は無効論に触れたい。
無効論で多く聞かれるのが次の2点に関する理由である。
①日本国憲法は大日本帝国憲法の改正限界を超えている(憲法改正限界説)。
② GHQが原文を作成しGHQの監督下の国会で行われた憲法の改正は、ハーグ陸戦条約に違反している。
①は大日本国憲法の改正として主権が天皇から国民へ移譲していることは改正の限界を超えた全く別の憲法で無効ということだ。
更に②のハーグ第43条『国の権力が事実上占領者の手に移った上は、占領者は絶対的な支障がない限り、占領地の現行法律を尊重して、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保する為、施せる一切の手段を尽くさなければならない。』から占領軍の作成した憲法は無効となる。
要するに①の問題は大日本国憲法から日本国憲法となって國體が変わったのか、それとも護持されたのかの点に注目すれば改正されていることが理解できる。②もそれを分かった上で日本人の手によって制定されており、適法と考えるのが妥当である。
よって日本国憲法無効論は破綻した論理であり、70年間の運用は決してこの主張が許されることなどないことを物語っている。
要するに無効論はナンセンスであり、寧ろ改正の障壁になり兼ねないのである。やはり倉山満氏の主張される『日本国憲法は異常』との考え方がしっくりくるのである。
無効よりは遥かに異常の方が改正への近道となるのである。