山の中の鉱泉を後にして私たちは誰も通らないような林道を
ダムに向かって走って行きました。
地図で見るとその道伝いに行けば目当ての国道に出られるはずです。
すれ違うのもやっとのような細い道を行くと
時々小さな集落が出て来るのには驚きました。
辺りは迫るような深い山々です。
自分も山に住んでいるけれどその辺りの山はまたどこか故郷のそれと違うのが不思議でした。
途中で自分たちの走っている道に不安を覚え、
スマホのマップで調べようかと思いながらカーブを曲がると
直線道路の左側に一人のおじさんが椅子に座っているのが見えました。
車をおじさんの前に止めて、
藤倉へ行くにはこの道で良いですか?と
声をかけました。
おじさんは内輪を使いながら答えてくれましたが、なんとなくそのまま
世間話を交わしてふと脇を見ると、
おじさんの家の入り口付近にはお地蔵様がいっぱい並べてありました。
その数の多さにびっくりしていると、
おじさんは、
向こうには重さ五トンの石があるから、
なんかの縁だそれを見て行け、と言うのです。
ハプニング大好きな私たちですからもちろんお言葉に甘えました。
庭先から石の庭園へ、大小様々なお地蔵様、不動明王、石灯籠と、
おじさんの家の庭はまるで石の博物館のようでした。
おじさんは全くの趣味で財産を石のためだけに使っているようです。
そう言えば一つ前のカーブを曲がった時曲がり角に二メートルほどの観音様が立っていたけれど、もしやと思って聞いてみると
やっぱりおじさんが設置したものでした。
こんな山奥で地元民以外は通る人もまばらだろうに、
おじさんは本当に自分のためだけに観音様や地蔵様などを集めては眺めている日々のようです。
世の中には変わったおじさんがいますね。
ところでおじさん、ここで何をしていたんですか、と尋ねると
家の中が暑いのでここで涼んでいたんだよ、って。
どうせ誰も通らん道路だからのんびりできるよと、笑って言いました。
私も山の中だが
おじさんはもっともっと山の奥の方にたった一軒だけの家です。
こんなところに一軒家、それも巨石や地蔵が所狭しと並んでいます。
変わってますよね。
写真撮っておけば良かったが、アイパッドを持ち出すのも仰々しく
咄嗟のことでごめんなさい☆
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