大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

これから電気自動車の時代が来る

2016年08月31日 | 日記

 アメリカで電気自動車の普及が急速に進みつつある

 これまで、電気自動車が普及する大きな壁とされてきたのが、一回の充電で走れる距離の短さ価格の高さ。しかし、テスラは、航続距離が200マイル(約320km)を超えるモデル33万5千ドル(350万円:1ドル=100円で計算)で予約販売開始。私からすると欲しいけど高いなという感じだが、2016年8月28日(日)のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)によれば、アメリカの新車の平均販売価格は3万3千ドルということなので、アメリカでは平均的な新車価格ということになる。

 GMも今年後半(2016年後半)に、航続距離が200マイルを超えるシボレーBolt EVを発売する予定。同社のHPによると、補助金などを利用すると実質的な価格は3万ドル(300万円)となる。

 また電気自動車普及に欠くことのできない充電スタンドも急速に増えている。前出WSJによれば、アメリカには約9万のガソリンスタンドがあるが、充電スタンド設置大手チャージ・ポイント社が設置した充電スタンドだけですでに3万に達している。

 日本ではガソリン車にかわる次世代車として水素自動車が注目されているが、数億円ともいわれる水素ステーションの高額な建設費がその普及を妨げている。トヨタはHPに水素ステーションの一覧を載せているが、その数はまだ100にも達していない。これに対しWSJによれば充電スタンドの設置費用は3-7千ドル(3-70万円:1ドル=100円で計算)。まったく相手にならない。

 個人的には、トヨタやホンダによる水素自動車の実用化は本当にすばらしい技術的ブレークスルーだと思うし、日本では一定の普及が進むと思うが、水素ステーション不足がネックとなり欧米での普及はあまり進まないのではないかと思う。テスラCEOのマスク氏は、スペースX社CEOとして宇宙ロケットの再利用に成功する一方、水素は扱いが難しいので水素自動車は信じられないぐらい無駄なものだ(incredibly dump)と述べている。日本の自動車メーカーが、開発段階で水素ステーション設置の難しさをどのように考えていたのか知りたい。