現在、日欧米の中央銀行は、歴史上例を見ない大量の国債購入や低い政策金利の設定をおこなっている。これにより国債の利回りはこれまた歴史上例を見ない水準にまで低下している(逆に価格は上昇)。
こうしたなか2016年9月15日のフィナンシャル・タイムズによれば、格付け会社フィッチは、最上級の格付け国債の利回りが2011年の水準にまで上昇すれば3.8兆ドル(380兆円:1ドル=100円で計算)の損失が発生すると警告している。
ちなみに最上級の格付けのアメリカ国債についていえば、現在の長期国債(10年国債)の利回りは1.7%前後。これに対し2011年のそれは3.5%(年初)から2%(年末)となっている。最上級の格付けではないが日本の長期国債についていえば、直近の利回りは0%に近付いているが、2011年の利回りはだいたい1%から1.2%となっている。
計算の根拠が示されていないので、フィッチの推計の正しさは判断できない。ただ長期的な平均から極端にはなれたものが長続きしないというのは経験が教えるところ。気になる話である。