大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

7月1日にメキシコで大統領選挙: ポピュリストのオブラドール氏が優勢

2018年06月06日 | 日記

 2018年7月1日(日)にメキシコで大統領選挙がおこなわれる。

 トランプ大統領は当選以来、メキシコとの国境に壁を作り、移民の取り締まり、強制送還を強く進めると主張。NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉では、メキシコに不利となる変更を強く迫っている。

 こうしたなか、これまで対米経済協力を進めてきた政党に批判が集中。世論調査では、ポピュリスト・オブラドール氏が他候補に20%近い差をつけている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(2018/6/4)は、オブラドール氏の経済政策を次のようにまとめている。

1) 若年失業者の就業支援に51億ドル(5.6千億円:1ドル=110円)をあてるほか、年金の倍増、2つの石油精製所の建設(インフラ投資)などをおこなう。

2) ガソリン価格を凍結する。

3) アメリカとの国境地帯で消費税を引き下げる。

4) 政府の腐敗追求、効率化によって上記に必要な資金200億ドル(2.2兆円:GDPの2%相当)を捻出する。具体的には5万ドル(550万円)以上の年収を得ている政府高官の給与を半額にし、政府内の管理職数を70%削減する。また省庁ごとにおこなわれている物品の購入を中央政府に集中させ効率化をはかるとともに、諸契約の入札制度の透明化を進める。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、現ニエト大統領のもとで政府債務は一時GDPの49%まで増加したが、現在は減少傾向にあり、今年度はGDPの0.8%相当の財政黒字がみこまれている。

 オブラドール氏の経済顧問ウルズア(Urzua)氏は次期政権は財政規律を重んじると述べているが、一部から政府負債の増加を懸念する声がでている。

 メキシコの株式はアメリカとの経済摩擦懸念などもあり、今年にはいって9%下落。通貨ペソの下落も続いている