大野威研究室ブログ

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トランプ大統領、今週金曜日に対中関税を25%に引き上げると宣言

2019年05月06日 | 日記

 2019年5月5日(日)のお昼ごろ(アメリカ東部時間)、トランプ大統領はツイッターで今週金曜日に2000億ドル(22兆円:1ドル=110円)分の対中関税を10%から25%に引き上げると宣言した。

 現在、アメリカは中国からの輸入500億ドル(5.5兆円)に対し25%の関税を、2000億ドル(22兆円)に対し10%の関税をかけている。

 2000億ドルの関税は、当初は2019年1月から25%に引き上げられる予定だったが米中協議の進展をうけ3月からに延期。そして3月実施も、その直前にふたたび延期となっていた。

 トランプ大統領は今回、突然、これを5月10日(金)から25%に引き上げると宣言した。

 トランプ大統領は、関税がかかっていない残り3250億ドル(36兆円)についても、すぐに25%の関税を課すとしている。

 今回の関税引き上げ宣言の意図については、(1)補助金問題などについて交渉の最後のつめ(中国の妥協)を急がせるためのブラフ(はったり)であるという見方と、(2)まとまりかけた交渉内容に中国内部から異論が出て、これまでの合意内容の大幅な見直しをアメリカが迫られた(ことへの対応)、といったような見方がでている。

 5月15日(水)にモラー特別検察官の議会証言(トランプ氏にきわめて不利な内容)があるかもしれないということも、トランプ大統領の今回の決定に影響を与えているかもしれない。

 意図はともかく、ウォールストリートジャーナルやCNBCなどで5月10日までに米中協議の大枠決定かという報道があった直後だけに、世界に大きな衝撃がはしっている。

 5月8日(水)からワシントンではじまる米中協議のゆくえに注目したい。

 

2019年5月6日午前9時13分追記

 2019年5月6日、ウォールストリートジャーナルは、5月8日(水)からワシントンで予定されていた米中貿易協議を中国がキャンセルすることを考慮していると速報した。

 

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