大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米CPI(インフレ率)の基調は変わらず(鈍化せず)

2018年10月12日 | 日記

 2018年10月11日(木)、米労働統計局は9月のインフレ率(CPI)を公表した。

 全品目のCPIは1年前とくらべ2.28%の上昇(先月は2.7%)、エネルギーと食料品を除いたCPIは2.17%の上昇(先月は2.2%)となっており、先月よりインフレ率が低下したことが明らかになった。

 ただこれには昨年9月にガソリン価格が急騰したことが大きく影響しており、それを除けばインフレ率が落ち着いたとか鈍化した形跡はなく、これまでの基調を維持している。

 すなわち今回のインフレ率低下に大きく寄与したのはエネルギー。先月の10.2%(1年前比:以下同)の上昇から4.8%の上昇に大きく上昇率が鈍化した。これによるインフレ率の目減りは0.44%ほど。これがなければ、全品目のCPIは先月とほぼ同じ2.7%になっていた。

 これは、以前のブログで指摘していたように、ガソリン価格自体は先月と今月であまりかわっていないのに前年の9月以降にガソリン価格が大きく上昇したため1年前比での上昇率が低く計算されることになった結果。

 注目されるのは9月24日に発動された一般消費財を含む対中関税第3弾の影響であるが、一般消費財は-0.3%(先月は-0.2%)の低下となっており9月調査の時点で大きな影響は認められない。今後、在庫や駆け込み輸入のバッファーがなくなるにつれて影響が出てくるものと思われる。

 今週は、アメリカのインフレ率、金利の上昇に警戒して世界的に大幅な株下落がおこった。関税引き上げの影響がこれからどのようにあらわれてくるか注意してみていきたい。



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