電気自動車が自動車産業の分業構造を大きく変えつつある。
ガソリン自動車一台に使われる部品は2-3万点。
これに対し、電気モーターを使うことで変速ギアなどが不要となる電気自動車の部品は少なく、テスラのモデル3で7千点ほどとされている。
そのなかでとくに重要なのは電気モーター、リチウム電池、モーターなどを制御する情報システムだが、GMの電気自動車シボレー・ボルトEVは、それら中枢部品の87%を韓国のLG化学とLG電機から外部調達している。
自動車生産で汎用化(特別に設計された部品でなく一般に売られている規格部品によって生産できるようになる)が進むと、家電と同じようなこと-完成品を作るメーカーでなく汎用部品を安価・大量に生産できる国、企業に生産の主導権が移る-がおこると心配されているが、GMのボルトEVはまさにその先駆けとなりそう。
GMのボルトEVでは、LGグループから調達する部品の知的所有権はGMが保持することになっているが、いずれLGや独コンチネンタルなど外部のメーカーが独自のシステム一式を供給するようになっていくのは避けられない流れのように思う。
電機産業では2-3年で業界地図がオセロのように激変する状況のなか、多くの日本企業はそれにうまく適応することができないでいるが、日本の自動車メーカーは電機メーカーの轍を踏まずにすむのであろうか?
2019/3/22追記
2019年1月31日、VWは電気自動車のモジュラーであるMEBを他社に提供すると発表。
VWは2019年3月には、電気自動車生産のスタートアップ企業e.GO Mobile にMEBを提供すると発表。MEB提供先としては同社がはじめてとなる。VWの計画では、このMEBを利用して1千万台の自動車が生産される見込みとなっている。