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国際恐竜シンポジウム1


 公開シンポジウムということで、久しぶりに福井まで行ってきました。本格的なレポートはできませんが、感想を少し。同時通訳で聞くというのもあまり慣れない体験でした。アジア人でも英語の堪能な方の講演はそのまま聞いた方がよかったりもするし、一方中国の方々は中国語でしたので、同時通訳だけが頼りでした。
 イワン・ボロツキー博士の「アムール川流域のティラノサウルス類」は、ほとんどは歯の話でした。アムール川流域からティラノサウルス類を含む多数の肉食恐竜の歯が見つかっていたが、これまで詳細な解析はされていなかった。カリー博士による歯の形態の定量的な解析手法の報告が出たので、その手法を参考に種々のパラメータを測定した。その結果、主に全長(歯冠の高さ?)に基づいて3つのサイズグループに分けられた。その他のパラメータは全長に依存していた、というようなことでした。例えば大型のものはタルボサウルスと考えられるのか、そうでないとか、あまり踏み込んだ推論はなかったように思います。バルスボルド博士のお話は、あえて具体的な恐竜の出てこない、一種の提言ともいうべきものです。モンゴルでは周知のように、白亜紀後期(上部白亜系)からは非常に豊富な恐竜化石が産出しているが、白亜紀前期(下部白亜系)からはほとんど恐竜化石は出ていない。しかしこの時代は湖が広がり、多数の胞子や花粉が発見され、動物も恐竜こそ出ていないが魚類、両生類、哺乳類、昆虫などが多数出ていることから、中国の熱河にも似た豊かな生態系だったのではないか。その中にこそ、後の恐竜進化につながる手がかりがあるはずで、もっと発掘を推進すべきである。あえて、上部白亜系の豊富な恐竜に目を奪われない勇気をもつ者こそが、新発見をすることができるだろう、という結びが印象的でした。

 東先生は勝山でのフクイラプトル、フクイサウルスの発見史に続いて、第3次発掘調査で発見された竜脚類と小型獣脚類について紹介されました。竜脚類は尾椎が見つかっているが、オピストコエリカウディアでは前方の尾椎が後凹型なのに対して中央・後方の尾椎が後凹型である点で、ボレアロサウルスに似ている。全体的にはティタノサウルス形類の段階だが一部ティタノサウリアの形質も混じっているということでした。獣脚類はいまのところは、ドロマエオサウルス類の原始的なものではないかということです。藤田先生は富山県の恐竜足跡化石、とくに珍しいアンキロサウルス類の足跡や翼竜の歩行跡について、わかりやすく紹介されました。
 「中国の羽毛恐竜」はシノサウロプテリクスから最近のシノカリオプテリクス等まで、発見史を概説したもの。「四川省自貢のジュラ紀恐竜」も大体おなじみの恐竜群の紹介。
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