先日、篠田謙一著“人類の起源”を読んだ。著者は京都大学を卒業して、現在は国立科学博物館館長の68歳。専門は人類学で、アイヌ民族にも造詣が深い。本には人間の持つ遺伝子のことなどが書かれており、大変興味深いものであった。
2022年2月に初版されたもので、最近のゲノム解析をもとに新しい理論を展開しており、その一部は以下のとおりである。
『 (前略)新規コロナウイルス感染症を重症化させる遺伝子が、ネアンデルタール人に由来する可能性も示されています。重症化する人びとのゲノムを調べると第三番染色体のある領域が関係していることが明らかになったのですがヴィンデジャのネアンデルタール人が、まさにこの重症化するタイプを持っていたのです。
アルタイ地方のネアンデルタール人には見られないことから、おそらくこのタイプはヨーロッパのネアンデルタール人の系統の中で生まれ、どこかの時点でホモ・サピエンスにもたらされたとだと推定されています。 (後略)」
本では、近縁な人類であるネアンデルタール人のDNAを解析した結果、約20万年前にアフリカで生まれたとされてきた現生人類(ホモ・サピエンス)であるが、彼らの祖先と別れたのは約60万年前だったらしいと書かれていた。
人類の進化は大きく分けて、類人・原人・旧人・新人という段階を経てきたと考えられてきた。新人が私たちホモ・サピエンスで、約60万年前からの交雑をへて私たちがいることを考えると不思議な気持ちにならざるを得ない。
今、ロシア人とウクライナ人が戦争を行なっているが、このような人類の起源ことを考えると、取るに足りない戦いと思わざるを得ない。人類にとっての平和は、いつになったら訪れるのだろう。
篠田謙一館長から見れば、四代文明と呼ばれるものは紀元前5千年前ころになる。文明とは住みやすくすること、便利になること、生きることが楽しくなることであるので、世界各国の防衛力拡大などをみると、現代はその逆を行っているようである。
「十勝の活性化を考える会」会員