大川小学校もさることながら、某銀行の女川支店の話は何だかほんとうに辛い。避難地域の高台に行かず、支店長の判断で支店に残り、ほぼ全員が犠牲になった。
他にこのような話を聞かないということからすると、この銀行の会社の体質なのかもしれないし、指示をした人特有の考えなのかもしれない。本部に対する忠誠心があって、逃げられなかったのかもしれない。いずれにしても犠牲になった人たちやご遺族の気持ちを察して余りある。
銀行は私企業であるが、公共性が高い。決済機能を担っているから、監督官庁が早々に年末年始の御用納めをした後も、黙々と12月30日まで働かねばならない。
顧客のことを考えると、容易に支店を放り出して、避難するわけにはいかないと考えたとしてもおかしくはない。また、預かった現金を大量に保有しているから、重厚な鍵の戸締りをしている余裕がないことも、避難をためらわせた要因だったはずだ。
そういう使命感でもって犠牲になっても、防波堤を締めに行って犠牲になった消防団の人や、町役場で避難を呼びかけ続けて犠牲になった人ほど、尊く思われないとしたら、本当に複雑な気持ちになる。ただ単に逃げ損ねたということで整理のつく話ではないのだ。