今はもうコンクリートの用水路になってしまったが、小学校までは石垣を積んだ用水路で、初夏のころ、ヘイケボタルが飛んでいた。
父親が、夜、ナイターの後、「おい」なんていって、その用水路にホタルを取りに行ったものだ。ホタルといっても、いっぱい飛んでいるわけではなく、せいぜい2、3匹。ムラサキツユクサに泊まって光っているのをとって、虫かごに入れて持って帰る。
その当時は、まだ、蚊帳を吊っていて、その中にホタルを開け放つ。電気を消して、ホタルが光りながら蚊帳の中を飛ぶ。外では、水田に囲まれているものだから、カエルが合唱している。
父親のいる光景である。こんなのばっかりが最近頭に浮かんでくるのだ。困ったもんである。