いつも利用している駅の改札口の傍に宝くじ売り場があり、少し前までドリームジャンボの販売で賑わっていた。 次から次へと客が途切れることはない。 「この売り場から2億円の当選者が出ています」と大きく書かれた宣伝が効いているのだろうか。 宝くじは、投資とリターンの確率で考える限り明らかに投資に見合ったリターンは期待できない「不利な」投資である。宝くじの運営に費用を掛けて収益を確保した上で残った金を当選金に回すのであるから、投資に見合ったリターンが期待できるわけが無い。それにもかかわらずなぜ人は宝くじを買うのであろうか?
宝くじに関する世論調査のデータ(財団法人日本宝くじ協会のサイトより)によれば、宝くじ購入理由の第1位はやはり賞金目当てである。当ててやろうと思って宝くじを買うのであるが、そのとき3億円を獲得できる確率を考える人はおそらく少ないのだろう。当選の確率が10万分の1であっても100万分の1であってもあまり人は気にしないが、この違いは実に10倍もあるのだ。しかし同じ10倍違う確率でも、1/3と1/30ならば、人はその違いに鋭く反応するはずである。 これはどういうことなのか? 思うに、10万、100万分の1という極めて低い確率になると人の頭はたちまち対数計算モードに入ってしまうのだろう。 宝くじはこの人の心理の盲点をついている。そして当選確率を気にすることなく、リターンに見合わない投資を平気でするのである。
宝くじ(公営ギャンブルについても言えるが)については別の見方もできる。 前述の世論調査で、宝くじ購入理由の第2位は「宝くじには大きな夢があるから」(夢をみさせてくれるからという意味でしょう)となっている。 もしかしたら3億円当たるかもしれない。3億円手に入ったら高級車買って豪華客船で世界旅行して・・・ と夢をみさせてくれる。それもたった300円で。宝くじが人に夢を与えてくれるなら(たとえそれが儚いものであったとしても)価値を生み出しているのであって、人はその価値を300円で買っているのである。この観点に立てば、宝くじを買うという人の行動は合理的でないとはいえない。
ドリームジャンボの抽選日は6月12日。 やっぱり買っとけばよかったなあ。