「上から目線」の構造 榎本博明 著 日本経済新聞出版社
仕事をしていると、最近、若い人たちが「上から目線」だなあと思うことがよくあります。そこで、書店で目にしたこの本はそんな「上から目線」の疑問を解決してくれるような本かなあと思って読んでみました。論文的な新書を読んだのは久しぶりでした。新書特有の最後のページに著者が考える結論が凝縮されています。この本はどちらかというと若い人々、特に20代の人々が上から目線を投げかけられたときの心理的なメカニズムについて説明されています。私が疑問に思ってきた若い人たちが年上の人へ投げかける「上から目線」に関して直球的に解説されているわけではないのでちょっと焦点が違っていた本でしたが、その疑問をとき解きほどくヒントはこの本の中に見出すことができました。そのヒントは大人の権威が失墜していることと母性原理と父性原理の社会の問題が日本人のメンタルな強さの形成を阻害していると記載されていた箇所です。これらのことに多少関連しているかもしれないなあと納得できました。大分前に読んだ大平健著の『やさしさの精神病理』や河合隼雄著の『母性社会父性社会の病理』がこの本の中で取り上げられていました。本来母性社会の中で育てられて生きてきた日本人にとって、最近の父性社会の理論で生きようとしても、無理があるときもあるということでしょう。そんな社会で生きていく上司や年長者、若者たちもみんなひっくるめて日本人へのエールがこの本の中では記載されているのではと解釈しました。最近、意味が変わってきた『やさしさ』ですが、思慮の浅いやさしさよりも、どんな逆境にも切り抜けていけるようなメンタルを鍛えられるように、上から目線と呼ばれてもいいから、その人が本当に幸せになれるようにヒントを出してあげるのが真のやさしさであるということなのでしょう。
仕事をしていると、最近、若い人たちが「上から目線」だなあと思うことがよくあります。そこで、書店で目にしたこの本はそんな「上から目線」の疑問を解決してくれるような本かなあと思って読んでみました。論文的な新書を読んだのは久しぶりでした。新書特有の最後のページに著者が考える結論が凝縮されています。この本はどちらかというと若い人々、特に20代の人々が上から目線を投げかけられたときの心理的なメカニズムについて説明されています。私が疑問に思ってきた若い人たちが年上の人へ投げかける「上から目線」に関して直球的に解説されているわけではないのでちょっと焦点が違っていた本でしたが、その疑問をとき解きほどくヒントはこの本の中に見出すことができました。そのヒントは大人の権威が失墜していることと母性原理と父性原理の社会の問題が日本人のメンタルな強さの形成を阻害していると記載されていた箇所です。これらのことに多少関連しているかもしれないなあと納得できました。大分前に読んだ大平健著の『やさしさの精神病理』や河合隼雄著の『母性社会父性社会の病理』がこの本の中で取り上げられていました。本来母性社会の中で育てられて生きてきた日本人にとって、最近の父性社会の理論で生きようとしても、無理があるときもあるということでしょう。そんな社会で生きていく上司や年長者、若者たちもみんなひっくるめて日本人へのエールがこの本の中では記載されているのではと解釈しました。最近、意味が変わってきた『やさしさ』ですが、思慮の浅いやさしさよりも、どんな逆境にも切り抜けていけるようなメンタルを鍛えられるように、上から目線と呼ばれてもいいから、その人が本当に幸せになれるようにヒントを出してあげるのが真のやさしさであるということなのでしょう。