オジいさん 京極夏彦 著 中央公論新社
書店で見かけておもしろそうと思って図書館で久しぶりに借りて読んでみました。作者の京極夏彦さんと言えば、ホラー小説などの怖い小説でお馴染みの方ですが、この小説は全く微塵もそんな影すらありませんでした。怖い話は好きではないので京極さんの小説は以前に読んだことがありません。この小説は定年後の人生を一人暮らしをしながら慎ましく過ごす一生涯独身の七十二歳の主人公、益子徳一のお話でした。徳一の普段の一人暮らしの日常生活が淡々と描かれていて、ちょっと風変りな小説とも言えます。徳一は水曜日をスーパーに買い出しの日と決めていたり、カセットテープのゴミの出し方に真剣に悩んだり、本当に几帳面でまじめに生きてきた人物です。世間とのつきあいもそこそこで、おとなしく日々を過ごしているんですが、きちっと信念を持っている人物なんです。馴染みの電器店の先代の親父からは徳一は立派な人だとその電器店の2代目の息子に語り継がれていたくらいです。人との付き合いはそれほどないけれど、誰にでも愛される一人暮らしのいい人なんです。時々まどろっこしい箇所もたくさんあって読み飛ばした箇所もありましたが、次第に徳一の思っていることやひとりごとにはそうだそうだと読んでいるうちに共感できたこともたくさんありました。知らない人からオジいさんと呼ばれるときの気持ちが描かれている箇所が何度か出てきましたが、誰でも徳一が感じたような同じ気持ちになるのだろうなあと思いました。徳一は実際年をとっているんだからおじいさんと呼ばれてもしょうがないと思っていますが、時と場合によるということとそのときの相手の背後にある黒いものを感じざるを得ないことなど、私もこの主人公と同じ年齢になったら同じことを感じるだろうなあと思いました。おばさんと呼ばれることと同じことですよね。スーパーでのウインナーの試食での話は徳一の人の良さがにじみ出ててちょっと笑えました。最後の結末もほんわかしてて読んでよかったと思えた小説になりました。
書店で見かけておもしろそうと思って図書館で久しぶりに借りて読んでみました。作者の京極夏彦さんと言えば、ホラー小説などの怖い小説でお馴染みの方ですが、この小説は全く微塵もそんな影すらありませんでした。怖い話は好きではないので京極さんの小説は以前に読んだことがありません。この小説は定年後の人生を一人暮らしをしながら慎ましく過ごす一生涯独身の七十二歳の主人公、益子徳一のお話でした。徳一の普段の一人暮らしの日常生活が淡々と描かれていて、ちょっと風変りな小説とも言えます。徳一は水曜日をスーパーに買い出しの日と決めていたり、カセットテープのゴミの出し方に真剣に悩んだり、本当に几帳面でまじめに生きてきた人物です。世間とのつきあいもそこそこで、おとなしく日々を過ごしているんですが、きちっと信念を持っている人物なんです。馴染みの電器店の先代の親父からは徳一は立派な人だとその電器店の2代目の息子に語り継がれていたくらいです。人との付き合いはそれほどないけれど、誰にでも愛される一人暮らしのいい人なんです。時々まどろっこしい箇所もたくさんあって読み飛ばした箇所もありましたが、次第に徳一の思っていることやひとりごとにはそうだそうだと読んでいるうちに共感できたこともたくさんありました。知らない人からオジいさんと呼ばれるときの気持ちが描かれている箇所が何度か出てきましたが、誰でも徳一が感じたような同じ気持ちになるのだろうなあと思いました。徳一は実際年をとっているんだからおじいさんと呼ばれてもしょうがないと思っていますが、時と場合によるということとそのときの相手の背後にある黒いものを感じざるを得ないことなど、私もこの主人公と同じ年齢になったら同じことを感じるだろうなあと思いました。おばさんと呼ばれることと同じことですよね。スーパーでのウインナーの試食での話は徳一の人の良さがにじみ出ててちょっと笑えました。最後の結末もほんわかしてて読んでよかったと思えた小説になりました。