TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

先生、日本ってすごいね

2016年09月10日 | 読書日記
先生、日本ってすごいね 服部剛 著 高木書房
今、文部科学省が道徳の教科化を進めています。この本は、その一助となればと、公立中学校の先生である著者が道徳の授業の実践報告を紹介した本です。エルトゥールル号や板東捕虜収容所などの立派な日本人が教材に利用されていて、その行いを通して中学生に自ら考えさせることを毎回重きを置いておられる工夫がいいなあと思った本でした。最後のほうのページに、自分を見つめ直すことができたとか、新しい発見ができたとか、考える幅が広がったとか、授業を受けた生徒がそれぞれ成長していると想像される率直な感想が掲載されていました。あとがきを読んで、著者がこの授業をどのようなビジョンを掲げて臨んでおられるかという思いがよく伝わってきました。この本の表紙には富士山が掲載されています。それは、あとがきに記載されていたのですが、道徳は富士山のようなものだという教育学者の先生の言葉から取られていたのだなあということがわかりました。遠く高く堂々とそびえる霊峰が徳目であり、時折、眺めては「ああ、美しいなあ」と感じ入るものであってよいということを道徳教育に結び付けて述べられていました。道徳教育がすぐには道徳的行動に結び付くとは限らないのでしょうが、この授業を受けた生徒一人一人が大人になっていつかこの授業のことを思い出して行動できるようになればいいと結んでおられました。教育は長い目で見ることが大切なんですね。
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