これが私の生きる道

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読んでみてください!!

島本理生「ナラタージュ」を読んで

2006年03月10日 20時28分04秒 | 読書
 今まで恋愛小説は読んだことありませんでした。
雑誌でこの本が紹介されていたので読んでみました。
以下はネタバレの部分があるので気をつけてください。

 200ページ位まではあんまり面白くなくて
やっぱり恋愛小説は合わないのかな、
なんて思いつつページを捲っていましたが
それからラストまでは一気に読破しました。
 読んだ後は気持ちが重くなってしまい
寝つきもよくなかったし、今日一日体がだるかったです。
それ位、物語に呑み込まれてしまいました。
小説を読んでこういう感覚になるのは初めてです。

 小野君という主人公の恋人が、あることをきっかけに
きつい態度をとるようになってしまい
あぁ、そんなこと言ったらダメだよ、ってつっこみを入れてましたが
翻って自分が付き合っている時に彼女に対して
この小野君と同じような言わなくていいことを言っていたなぁと
思い出されてきて、それがすごく気持ちを重くさせました。

 終盤に主人公の後輩がレイプされて、
その心境を手紙に記すシーンがあるのですがこれがまたきつい。
小説でレイプを持ち出すのは反則だなと基本的には思っていますが
それはひとまず置いといて、それゃこういう気持ちになるよなぁって
本当に思いました。
 カウンセリングとかして生きていかなくてはならないと励まされても
根本的な部分では壊れたものは治らないって感じます。

 また主人公の通っていた高校の葉山先生というのが主人公と
気持ちが惹かれあっているのですが、これがまた煮え切らない人で
途中まではうざったいなぁって思ってましたが
恋愛って理屈じゃなくてこういうあやふやで不安定なものだよな、
と妙に納得してしまいました。
 
 人間にとって最も不幸なことの一つに、お互いに本当に愛し合う相手と
二度と逢えないっていうことがあると、個人的に思っています。
死別よりもお互い生きているのに逢えないっていうのは
本当につらいだろうなぁと・・・

 作者はこの本を書いたのは大学在学中と巻末に書いてあって
驚きました。
確かに主人公も大学生だし、等身大の心情をつづっているのかと
思いますが、よくその年でこんなせつない小説が書けるなって
感心してしまいました。
 これを機に恋愛小説も読んでいこうかなぁって思っています。

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