宮古島と石垣島を比べようという企画ではありません。
宮古島(のみならず沖縄県全体ですが)に現存する貴重な石垣の話です。
島には有り余るほどの琉球石灰岩があり、表土を3mも除くとゴロゴロと出てきます。
この琉球石灰岩を活用する石造文化が現れ、主に飲み水の井戸や住宅の周りに「屋敷囲い石垣」として建造される石積み技術が発展しました。
市内大浦という地区には、この屋敷囲い石垣が3種類みられる屋敷が現存しており、保存されています。
その3種類とは
【のずらづみ:野面積み】加工していない野石をそのまま積み上げるもので、石同士がかみ合っていないが適当に積み上げられるので今でも普通にみられる技法であります。これで崩れないのは沖縄には大きな地震がなかったことによるかもしれません。
【あいかたづみ:相方積み】野石の一つ一つを多角形に加工して石同士に隙間がなく積み上げる技法です。多角形の意思の形が亀の甲にも見えるので「亀甲積み」ともよばれます。
この屋敷には、この二つの技法が角を境に両方使われているという珍しい屋敷囲いがあります。
この角を境に左側が「野面積み」右側が「相方積み」になっています。右の画像は相方積みです。
これが屋敷の2方を囲み、残る一方には、一部ですが違う積み方の囲いがあります。
【ぬのずみ:布積み】野石を方形に整形し、石の上辺を一直線になるように並べた技法です。
何故この3種類を並べたのか、いつ作られたのかは判っていないようです。
特に、最後の布積みは、この屋敷のから15キロも離れている比嘉集落で多く見られる技法で、当時どんな交流があったのか興味深いところです。が、これ以上は突っ込みません。島の人はあまりこういうことに興味がないようで、なぜ知りたいか?と突っ込み返されるのがオチです。
そして最近は、圃場整備の雨水を溜める調整池と呼ばれる池の護岸にも相方積みの技法が使われていますが
野面と相方の中間のような別物のような。上の文化とはかけ離れているような。