◎北川朱実氏
(略)日常の中から社会を、そして生きていく人を静謐な目で見つめた作品が多く、心魅かれて読みました。特に、「秋田大橋の下で」「河口」「朝」「深夜・海のある街を思う」は、心に残りました。
◎吉田文憲氏
(略)「川は以前と同じように/波の音を橋桁にこだまさせて 生きていた」という詩句が印象的で、「川流れて・生」から始まり、「雷鳴響く夜・病む人へ」に至るⅠ章が、とても心に残りました。川はわたしたちの日常生活のすぐそばを流れる異界なのかもしれませんね。
「行き交う人々の思いを繋げるために/ただ/立ちつくしている/たちつくしてきた」に万感の想いがこもるようです。
ザオザオという風切る音、「その先に生があったということは/こちら側でも生きてきたということだ」という詩句も印象的です。それが、この詩集の発見なのかもしれないな、と思いました。
「花輪沿線」は、鹿角市、花輪の町でしょうネ。昨年、父を亡くして、何度か墓所のある扇田を訪れ、駅が無人駅になっていることにある種の感慨を覚えました。
読みながら、雄物川の河口風景を思い浮かべておりました。それから、ぼくも何度か足を運んだ石巻、北上川の河口や女川の海岸を歩き回ったこともモノローグのようでもあり、静かな時間や風景と対峙しているようでもあり、全体が大きな意味での鎮魂歌のようにも感じました。(略)
◎岡 三沙子氏
(略)茨島といえば大橋と旭橋にはさまれた地域なので、この題名に納得致します。このタイトルで私も何か書けそうな気が致しますが、橋というとやはり男性的なテーマになりますね。茨島は小学校六年から二十三才まですんでいた古里ですが、それ以前の原野だった幼少時代の思い出もあり、亡父が埋め立て工事にかかわった原風景が懐かしく思い出されます。(略)
<「橋上譚」関連サイト> http://www.geocities.jp/maedaben/