東京練馬在住、牧野孝子さんの詩集『みずとそら』が届いた。
秋田の詩誌『日本海詩人』を通じて30年前頃から存じ上げている詩人。
面識はないが、その詩の世界では当時から私淑していた。
何を?それは、詩句としての独立性とキリリとした在り方。
つまりは、言葉の正確さとも言えようか。
非
そこにある 気配の遠く
つたえてくる便りのごとき
非の象の輪郭から
きのう受け取った たまゆら
歪みの血潮を泳ぐ
一匹の死骸
ほとばしる文脈の切り口ににじむ
朝焼けを 日毎
のみほす虚空の
永遠の疑問符
誰でもない誰かの鍵穴にのぞく
いっときの楽園から
ひそかに運び出され
もっとも遠い他者であろう
自分自身に遡るか