見上 司さんの新詩集『虹のような日』が土曜美術社出版販売から刊行された。
見上さんは秋田の三種町在住の詩人。抒情的詩風の作品が魅力的だ。
読み手の内奥へどこかしっくりと纏わりついてくるような、そんな詩を書く人・・・
と書いてしまえば固定観念で作者へ迷惑をかけるかも知れない。
だが、詩を読むという能動的な立場にいる人にとっては、作者が身近な存在となって
ビンビンと心に響いてくる作用があるかも知れない。
作品集の前にある散文「自序」と最終にある「あとがき」は、一般的な詩集には珍し
く作者の本音が表出されていて、苦悩、詩に対する真摯な取り組み方、詩論、持論、人
生観などが読み取れてくる。詩作品以前にこの詩人の在り方が視えて、とてもとても他
人ごとではない情感が湧き出てしまう。
「こんどこそこれが最後になるのではないか。もう一行も書けなくなる。書かなくな
てってしまう。その恐れのなかで書き継いできた」
「虹のような日」
ひょっとして ぼくが手にした一篇の
名もない詩が だれかの人生の
そらに すっと一条(ひとすじ) にじをかける
まかふしぎなちからをもって
いるかもしれない
そんなたわいないざれごとに
ひとり 胸をあたためる日が
あってよいのだ
なにもかもが 徒労であったと
うらぶれて とぼとぼかえる
ゆうまぐれ
都会のこんなビルのはざまに
こぢんまり おきわすれられたような
神社のまえのベンチにすわり
ふるい 小さな
かみさまと はなしてみる
ああ
ちいさな神さま
ちいさな神さまよ
発 行 2023年12月10日
著 者 見上 司(みかみ・つかさ)
発行所 土曜美術社出版販売
頒 価 2,000円+税
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