秋田公立美術大学の大八木敦彦教授から三冊の著書を戴いた。
大八木教授は福島県出身の英文学者であり詩人。
◎『病床の賢治 看護婦の語る宮澤賢治』2009年3月20日発行 舷燈社
1928年、体調を崩し生家で自宅療養をしていた宮澤賢治を看護した看護婦のTさんにインタビューした内容を基に、その頃の賢治を論考している。インタビューしたのは2007年でTさんは92歳。賢治が37歳で没して70年以上が経つ時点で、Tさんは生前の賢治を知る最後の人であろうと著者は言う。Tさんは「何でも感謝なさる人でしたね。ちょっとのことでも、あ、どうもすみません、ありがとう、とやさしい声をおかけになりました。お母 さんがとてもやさしい方でね。宮澤さんはお母さんに似たんですよ。」(著書から引用)と語っている。
生憎私は宮澤賢治に疎いのであれこれ言うことが出来ないが、この著書は賢治学会にとっても貴重な文献であろう。実はこの本が出た時、詩人で賢治論を著している吉田文憲さんから私へ私信が届き、大八木教授についての問い合わせがあった。残念ながらその頃は知己はなく、ホームページにあったデータを返事したのであった。今思うと、賢治研究者にとって衝撃的”文献”なのかもしれない。
◎『SHAKESPEARES SONNETS』2013年3月20日発行 舷燈社
帯文に「シェイクスピアの隠されたもう一つの劇(ドラマ)空前の天才詩人が残した謎の詩集、最新訳完成!」とある。訳詩。これから味読したい。
◎『記憶の中の未来 キャサリン・マンスフィールドの肖像』2016年3月20日発行 舷燈社
ニュージーランド生まれの作家。病のため短い作家生命に終わったが、人間心理の機微を描いて高く評価されている。その描写には作家本人の孤独、疾病、嫉妬が反映されているという。
恥ずかしながら、私はこの女流作家の名を初めて知った。大八木教授は、著書の序でこの作家を知ったのは大学時代、英文学を専攻してからだという。処女作から本質を論講し、知られることの少なかった彼女の作品を紹介、論じる。
・・・これから読み進める予定だが、さて、彼女の小説を読まずしてこの著書を読むべきかどうか。などと言いつつ今日はここまで。
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