人にはそれぞれ、「これ以上は譲れない」という信念や、一線のようなものがある。
いくら、お上や上司の言うことであっても、「それには従えない」「そのことだけは曲げられない」というものだ。
ところが、非常に珍しいケースだが、雑誌社の編集部が、読者からの批判に丁寧に反論して、自社の理念と主張を堂々と論じた。
その気骨ある雑誌社とは、通信販売会社の「カタログハウス」である。
、

そのことについて、「東京新聞」の10日付の「特報」面に「戦争 原発 沖縄差別 『まっぴら』──『通販生活』特集批判に回答 『平和だからこそ買い物できる』」という記事で紹介されていた。

リードは「通信販売会社カタログハウスの雑誌『通販生活』は2016年夏号で、『自民党支持の読者の皆さん、今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか』とする参院選特集を掲載した。この特集に172人から批判と質問が寄せられたことを受け、15日から販売する冬号の特集で『編集部からのお答え』を掲載した。その内容は─。」としている。

「通販生活」は、春夏冬と年3回発行され、当ブログでもこれまで何回か紹介しているが、安保法制や憲法、原発再稼動、沖縄基地問題などで政権批判もするし、2016夏号では、「つねに民主主義的手続きを尊重するフェアな保守政治としての自民党に変わってもらうには、一強多弱はよくありません」として、識者5人による「野党に投票する理由」などを展開した。
それに対して、「余りに強い政治色」、「買い物雑誌に似つかわしくない」、「左翼系の雑誌かと錯覚した」等の批判があがった。
それらの批判への回答の一部が以下である。
「買い物雑誌に政治的な主張を載せるべきではない。」という批判への回答は、東京電力福島第一原発のメルトダウンを例に、暮らしは政治の影響を受けるとし、「お金儲けだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業にはなりたくないと小社は考えています。」とキッパリ答えている。
「通販生活は左翼雑誌になったのか。」という意見に対しては「沖縄差別はまっぴら御免」だとして、「政治的主張はざっとこんなところです。『まっぴら』を左翼だとおっしゃるなら左翼でけっこうです。」と答えている。
「『良質の商品を買いたいだけなのに、政治信条の違いで買えなくなるのが残念』と今後の購読を中止された方には、こころからお詫びいたします。永年のお買い物、本当にありがとうございました。」とお詫びとともに、離れていく読者に最後にお礼を述べている。
カタログハウスの「商品憲法」には、第一条で、「できるだけ、地球と性別に迷惑をかけない商品を販売していく」として、第九条では、「できるだけ、核ミサイル、原子力潜水艦、戦闘機、戦車、大砲、重機のたぐいは販売しない。」と書かれている。
以下に「編集部からのお答え」を引用したい。
編集部からのお答え
172人の読者のご批判は、おおむね次の3つに集中していました。
(1)買い物雑誌は商品の情報だけで、政治的な主張は乗せるべきではない。
(2)政治的記事をのせるのなら両論併記型でのせるべきだ。
(3)通販生活は左翼雑誌になったのか。
(1)について申しますと、「買い物カタログに政治を持ち込むな」というご意見は「音楽に政治を持ち込むな」と同じ意見になるのかなと思いました。
たとえば福島第一原発のメルトダウンがいい例ですが、日々の暮らしは政治に直接、影響を受けます。したがって、「お金儲けだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業」にはなりたくないと小社は考えています。「政治の話は別にやれ」という使い分けもしたくありません。企業の理念と行動をありのままに読者のみなさんにお見せしたいと考えています。
(2)の両論併記は、「対立する異論を理解しあう形式」の一つと考えて実行してきました。これからも実行していきます。しかし。憲法学者の9割が違憲としたほどの「安倍内閣の集団的自衛権の行使容認に関する決め方」は両論併記以前の問題と考えた次第です。
(3)についてお答えします。
戦争、まっぴら御免。
原発、まっぴら御免。
言論弾圧、まっぴら御免。
沖縄差別、まっぴら御免。
通販生活の政治的主張は、ざっとこんなところですが、こんな「まっぴら」を左翼だとおっしゃるなら、左翼でけっこうです。
「良質の商品を買いたいだけなのに、政治信条の違いで買えなくなるのが残念」と今後の購読を中止された方には、心からおわびします。
永年のお買い物、本当にありがとうございました。
「『お金儲けだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業』にはなりたくない」と述べ、「まっぴら御免」とはっきりと言える──こんなぶれない雑誌や新聞、テレビなどが増えれば、もっと日本はよくなるはずである。
いくら、お上や上司の言うことであっても、「それには従えない」「そのことだけは曲げられない」というものだ。
ところが、非常に珍しいケースだが、雑誌社の編集部が、読者からの批判に丁寧に反論して、自社の理念と主張を堂々と論じた。
その気骨ある雑誌社とは、通信販売会社の「カタログハウス」である。
、
そのことについて、「東京新聞」の10日付の「特報」面に「戦争 原発 沖縄差別 『まっぴら』──『通販生活』特集批判に回答 『平和だからこそ買い物できる』」という記事で紹介されていた。
リードは「通信販売会社カタログハウスの雑誌『通販生活』は2016年夏号で、『自民党支持の読者の皆さん、今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか』とする参院選特集を掲載した。この特集に172人から批判と質問が寄せられたことを受け、15日から販売する冬号の特集で『編集部からのお答え』を掲載した。その内容は─。」としている。
「通販生活」は、春夏冬と年3回発行され、当ブログでもこれまで何回か紹介しているが、安保法制や憲法、原発再稼動、沖縄基地問題などで政権批判もするし、2016夏号では、「つねに民主主義的手続きを尊重するフェアな保守政治としての自民党に変わってもらうには、一強多弱はよくありません」として、識者5人による「野党に投票する理由」などを展開した。
それに対して、「余りに強い政治色」、「買い物雑誌に似つかわしくない」、「左翼系の雑誌かと錯覚した」等の批判があがった。
それらの批判への回答の一部が以下である。
「買い物雑誌に政治的な主張を載せるべきではない。」という批判への回答は、東京電力福島第一原発のメルトダウンを例に、暮らしは政治の影響を受けるとし、「お金儲けだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業にはなりたくないと小社は考えています。」とキッパリ答えている。
「通販生活は左翼雑誌になったのか。」という意見に対しては「沖縄差別はまっぴら御免」だとして、「政治的主張はざっとこんなところです。『まっぴら』を左翼だとおっしゃるなら左翼でけっこうです。」と答えている。
「『良質の商品を買いたいだけなのに、政治信条の違いで買えなくなるのが残念』と今後の購読を中止された方には、こころからお詫びいたします。永年のお買い物、本当にありがとうございました。」とお詫びとともに、離れていく読者に最後にお礼を述べている。
カタログハウスの「商品憲法」には、第一条で、「できるだけ、地球と性別に迷惑をかけない商品を販売していく」として、第九条では、「できるだけ、核ミサイル、原子力潜水艦、戦闘機、戦車、大砲、重機のたぐいは販売しない。」と書かれている。
以下に「編集部からのお答え」を引用したい。
編集部からのお答え
172人の読者のご批判は、おおむね次の3つに集中していました。
(1)買い物雑誌は商品の情報だけで、政治的な主張は乗せるべきではない。
(2)政治的記事をのせるのなら両論併記型でのせるべきだ。
(3)通販生活は左翼雑誌になったのか。
(1)について申しますと、「買い物カタログに政治を持ち込むな」というご意見は「音楽に政治を持ち込むな」と同じ意見になるのかなと思いました。
たとえば福島第一原発のメルトダウンがいい例ですが、日々の暮らしは政治に直接、影響を受けます。したがって、「お金儲けだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業」にはなりたくないと小社は考えています。「政治の話は別にやれ」という使い分けもしたくありません。企業の理念と行動をありのままに読者のみなさんにお見せしたいと考えています。
(2)の両論併記は、「対立する異論を理解しあう形式」の一つと考えて実行してきました。これからも実行していきます。しかし。憲法学者の9割が違憲としたほどの「安倍内閣の集団的自衛権の行使容認に関する決め方」は両論併記以前の問題と考えた次第です。
(3)についてお答えします。
戦争、まっぴら御免。
原発、まっぴら御免。
言論弾圧、まっぴら御免。
沖縄差別、まっぴら御免。
通販生活の政治的主張は、ざっとこんなところですが、こんな「まっぴら」を左翼だとおっしゃるなら、左翼でけっこうです。
「良質の商品を買いたいだけなのに、政治信条の違いで買えなくなるのが残念」と今後の購読を中止された方には、心からおわびします。
永年のお買い物、本当にありがとうございました。
「『お金儲けだけ考えて、政治の話には口をつぐむ企業』にはなりたくない」と述べ、「まっぴら御免」とはっきりと言える──こんなぶれない雑誌や新聞、テレビなどが増えれば、もっと日本はよくなるはずである。