あれは、9日間のお遍路旅の3日目のことだった。
強欲な庄屋が空海聖人を乞食坊主と侮り、非礼を働き、仏罰を被ったことを聞いた。
その時には、ふうんそんなこともあるんだなと感じただけだった。
だがその夜、宿泊したホテルの隣室から若い女性の金切り声が延々と続いて聞こえる。
5分、10分、15分、いやそれ以上だったと思う。
なにを叫んでいるのかまではわからない。
だが、こちら側も不快になるほどの金切り声だ。
そこでおいらは、とうとう隣室との間の壁を思いっきり蹴飛ばした。
当然にドンッ!という大きな音がして、隣室からの声は止まった。
やれやれと思って、部屋の風呂に入浴した。
そこで起こったこととは・・・
◆肋骨が2本折れていました
普段の自宅では一般的な固形石鹸を使用しています。
ホテルの部屋のバスタブでボディーソープを用いましたが、これがいけなかった。
バスタブ内で、ソープで足をすべらせて転倒し、わき腹をしたたかに打ち付けました。
もう息が出来ないほどの痛みで、一瞬救急車を呼ぶことを考えました。
それでも、9日間の団体旅行であることに鑑み、我慢をし、明日の状況を見ようと思いました。
そして翌日、痛みは全くとれていません、身体をひねったり歩くたびに痛みが襲ってきます。
なので、藁をもつかむ気分で、「南無大師遍照金剛」「南無大師遍照金剛」と3回唱えました。
私が他人に対して非礼を働いたことは反省します、でも私は団体旅行でお遍路中です、
仏罰として痛みを受けることは当然です、
でもなんとかお遍路を続けられるように歩けるようにだけして下さい、と祈ったのです。
すると驚くことに、痛みなく歩けるようになったのです。
それだけではなく、お遍路中の最大の難所といわれるお寺さんの300段を越える階段も難なく登れたのです。
ただ、ジャンボタクシーの乗り降りには痛みが伴う事に変わりはありません。
それでも、お遍路旅だけは続けられたのです。
旅を終えて、医院の診断を受けたところ、左第9・第10肋骨の2本が折れていました。
不思議な出来事ですが、私のリアルな体験です。