チェ・ゲバラと徳田虎雄氏

革命家チェ・ゲバラと徳洲会の徳田虎雄氏を並べると奇異な感じがするかもしれないが、両者にはかなり共通する点が幾つかあるようだ。第１に２人は医師である。第２に２人とも理想を高く掲げ、おのが信条に徹底的に忠実であったということだ。そして、第３の点が最も共通しているように見えるが、「目的のためには手段を選ばない」ということだろう。
ゲバラはカストロと共にキューバ革命を成功させ、一躍、２０世紀の最も偉大な革命家の１人となった。彼はそれに飽き足らず、南米のボリビアに入り武力革命を志すが、最後は政府軍に捕らえられ無残にも銃殺される。以上のことは多くの人が知っているが、理想とおのが信条のためには、どんな武力でも暴力でも行使したと言える。
一方、徳田虎雄氏は「生命だけは平等だ」をスローガンに、24時間救急医療や差額ベッドの廃止などに全力を尽くしてきた。この結果、彼の徳洲会グループは日本最大の医療グループになったわけだが、話を聞くと、手段は何でもOKという感じがする。このため、金を政治家などにばらまき、今回親族を始め何人もの逮捕者を出した。
こうして見ると２人に共通する点は、目的が良ければどんな手段も正当化されるということだ。それが“武力”だろうと“金力”だろうと構わない。まさに「目的のためには手段を選ばない」ということだ。ゲバラも徳田氏も強烈な個性を持っている。その点が魅力ではあるが、こういう人物は得てして暴走する。調べたら、徳田氏は実際に赤信号を無視して車を走らせるというから、まさに“暴走族”である（笑）。思い出したが、以前、鹿児島県奄美選挙区で大量の金をばらまき、多くの選挙違反者を出した話は有名だ。
こんな順法精神のない男も珍しい。まるで暴力革命家と同じだが、ゲバラも徳田氏も精神構造や意識が「２０世紀型」ではないのか。ゲバラは前世紀に亡くなったが、徳田氏は２１世紀の今日も生きている。ゲバラは武力革命家らしく“血まみれ”になって死んだが、せめて徳田氏は“金まみれ”になって亡くならないように望む。しかし、そんなことを言ってももう遅いか！(２０１３年１２月２５日）