能のお面をこつこつと彫って
そんな皆様の作品展を見てきました
能繖会 第8回能面展
Kennyの滋賀から情報発信
(この日記の掲載期間:4月3日~4月10日)
なぜ滋賀県は「面打」がとても多く盛んな県なんだろう
これが私の最大の関心事なんです
滋賀は「面打」がとても多くて盛んな県
実はこの世界を趣味とされる友人が私には二人おられます。
お一人は先輩社友のUさん。そして今回、招待状を下さった写
真仲間のMさんです。Mさんは、会員で武悪と云う作品を出展
されました。
Uさん(大阪府在住)から滋賀県は面打が多くが盛ん・、のお話を
お聞きしていた頃から一度そのさわりだけでも見てみたいと思
っていましたが、 この度長年の願望が実現です。
当日の会場
(なお、ここから先は私が記載の文末は、というそうです、とご理解下
さいね。以下の文面は、彦根城博物館編集・発行の冊子「能と雅楽」、
更に能面展でお聞きしたお話を参考に書かせていただいた日記です)
面打(めんうち)
能面を作(彫)ることを「打つ」といい、作者を面打といいます。
これはU氏から教わった能面で初めて知った言葉です。
写真拝借:平凡社 能面入門
なぜ滋賀県はそれだけ面を打つのが盛んなの?
私の興味はこれが第一なんです。本当に滋賀県って何でも
揃っているんですよね。例えば 国宝の数、城跡の数、関西
なのにスキー場だってある。そして今日の面打でしょう!
会場の白雲館 (滋賀県近江八幡市)
先ずは彦根藩主、井伊家の存在が大きい
江戸時代、彦根藩、井伊家が盛んに演能を行ったことは大い
に関係があるようです。井伊家の、特に15代直忠の時代に
収集の能面 能装束は殆どを網羅する大コレクションです。
その背景は、当時江戸幕府は能を式楽(儀式で行う楽舞)と
しており諸藩もこれにならい盛んに演能を行っており、例外
ではなく彦根藩、直忠は特に能面の収集、新たな制作を行い
ました。
彦根城博物館内にある能舞台 (当館のHPから)
パンフレットから
彦根城博物館で井伊家 家宝の能面が鑑賞できます
詳細は 彦根城博物館HP「幽玄の美」の項にあります
ところが更にすごい事が背景に: それは「木地師」です
なぜ滋賀が、これだけは聞き出したいと会場へ。即質問です。
流石は解説役の会員のAさん(初対面)、貴重な情報を提供く
ださいました。それは木地師(詳細は青字をクリックしてくださいね。
それぞれにリンクします。 以下も同じです)です。
なんと滋賀県東近江市蛭谷(ひるたに)は全国の木地師の発祥
地だったのです(知りませんでした)。
そりゃー、木材工作に長けているのは明白、なんらかの流れ
で近江での能面造りに繋がるのは私でも容易に理解出来ます。
三つめ、演目の題材も滋賀には: まだまだ理由が!
竹生島、逢坂山、三井寺など豊富な上に都(京都)の影響も、
と当のAさん。(それがどんな演目の内容に繋がるのかの詳細は時間
切れで、上に掲げたリンクは後日のネット検索です)
写真拝借:平凡社 能面の世界
それでなんだ!、特に滋賀が盛んなのは
江戸幕府が能を式楽として位置づけ、諸藩もそれに習い、滋賀
には発展の土壌があった。なぜ滋賀がこれだけ盛んに? の謎が
一日にして解けました。
そんなの知って何になるの、ですが、未知の世界を垣間見た喜
びの、目からうろこの一日でした。
では少し能面に付いて: しかし、これは理解するにも一日にして成らず
観世流能楽師 田茂井廣 道師の講演
能面の丁寧な解説の他に 仕舞(演目の一部を演じる)が3演目あり
ました。 目の前で能を! 感動ものでした。
能役者を召し抱える
江戸幕府は、観世、金春(こんぱる)、宝生(ほうしょう)、金剛、
喜多の5座の能役者を抱え、彦根藩では喜多流が深く浸透し
ました。能が当時 時代を風靡する土壌は贅沢に揃っています。
それにしても色んな表情のお面が
能の面(のうのおもて)といいます。能の登場人物は老若男女、
神や鬼神、幽霊や怨霊そして妖精も。その役柄を演出に応じ
て多くの仮面を使い分ける必要があります。何百種もあるそ
うですが、会場で頂いた解説書の分類で作品の一例を掲げると、
尉面(白色尉) 女面 (小面) 男面(小喝食)
異相面( 小癋見) 仏体面(武悪)
*写真:平凡社「能面入門」から拝借しました
*会場で配布の解説書での分類です
*能面の読み方(ふりがな)は末尾に掲げました
その歴史は
南北朝時代から室町時代は能面の創作期。桃山時代から江戸
時代には能面の形がほぼ出来上がりました。そして室町時代
の三光坊(さんこうぼう)(同、クリックしてください)を粗とする世襲面打
家が代々制作に携わるようになります。
近江伊関・二代目、次郎左衛門親政 作(世襲面打家の一つ) の
能面(室町時代) 展示がありました。
能面の素材は
檜木が多いようですが、中には桐、楠もあります。檜木です
と結構重いそうです。
ヒノキ材 (会場に展示)
全く未知の世界にまたのこのこと・・お願い
ここまで、わかったような事を日記として書き留めてきまし
たが、なにせ全く初めて覗いた世界です。記載文、内容に間
違い、誤解などが多々あると思います。どうか素人の日記と
ご容赦くださいますようお願いいたします。
幽玄の世界
と云うそうです。しばしそんな世界に浸ってきました。この
能面展は去る3月28日から30日まで、近江八幡市の白雲
館で開催されました。
・・・・・
能面の読み方、意味(当日配布の解説書を私が端折って)
尉面(白色尉): じょうめん(はくしきじょう):尉(老人)神の面
女面 (小面) : おんなめん(こおもて):若くてかわいい女面
男面(小喝食): おとこめん(こかっしき):禅寺の少年行者
異相面(小癋見):いそめん(こべしみ):鬼神。緊迫感をみなぎらせる
仏体面(武悪): ぶったいめん(ぶあく):主に仕官する人の名。力感
に満ち格調高く(ネットで)
参考文献
彦根城博物館編集・発行
その他: 平凡社 「能面入門」、ネット検索
今日もご訪問くださいましてありがとうございます