ツキノウエ on the moon

なんとなく日記

ジェイムズ・P・ホーガン 逝去

2010-07-14 01:38:49 | 小説
SF作家ジェイムズ・P・ホーガンが逝去されました。

ホーガン作品との出会いは中学の時だったかと思います。
加藤直之さんのなんとも印象的な扉絵に釣られて何の前知識も無く手に取った彼のデビュー作『星を継ぐもの』です。
(アニメオタク的には『不思議の海のナディア』最終回タイトルの元になった作品ですね)
その内容のハードっぷりにガツンとやられてしまいました。

月で見つかった5万年以上前の宇宙服の遺体。
そこから始まる科学者達の熱い議論。

宇宙人が攻めてくるでもない、パワードスーツの軍隊が戦うでもない、ひたすら会議室で議論って感じでハリウッド映画には絶対ならない作品です。
どちらかというとSF推理小説的。(文庫名も創元推理文庫ですし。)
でもその硬い感じが好きです。
映画で云えばカール・セーガン原作でジョディ・フォスター主演の『コンタクト』の真面目っぷりにも近い。(この作品は静かなSFって感じが大好きです。)
『アンドロイドは電機羊の夢を見るか?』などフィリップ・K・ディックの作品が(内容はどうあれ)何本もハリウッド映画になってるのとは対極ですね。(『アンドロイド~』が『ブレードランナー』、『追憶売ります』が『トータル・リコール』、『少数報告』(まんまじゃん 笑)が『マイノリティ・リポート』)

唯一ビュジュアル化されてるのが『未来の二つの顔』が星野之宣氏により漫画化されてるくらい。
これも原作読んだ社会人成り立ての頃、プログラマとしては冒頭の次世代型人工知能をセカンドライフみたいな疑似空間で試験するあたりが非常に興味深かったのを憶えてます。

とにもかくにも、私をハード設定なSF好きに育て上げた作家が逝去されたのは、誠に残念です。
安らかにお眠りください。

『星を継ぐもの』を久しぶりに本棚から引っ張りだして読もうかと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安らかに、、

2008-06-07 10:42:59 | 小説
氷室冴子さんがお亡くなりになりました。

氷室さんの小説は『なぎさボーイ』、『多恵子ガール』、『雑居時代』あたりを、コバルト文庫を読みあさっていた高校生くらいのときに読みました。
特に『なぎさボーイ』、『多恵子ガール』は同じ時間軸を二人の視点で書いているところが非常に新鮮でいまでも本棚に収まっています。
『なんて素敵にジャパネスク』は漫画で読んでたし、ジブリの『海がきこえる』を観た時も「あー、やっぱり氷室冴子はいいなぁ」なんて思ってたものです。

それがどの程度かは定かではないですが、氷室さんの文章は私という人格を形成するモノの一部分であるのは確かです。

謹んでご冥福をお祈りします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あさのあつこ No.6 #5

2006-09-12 00:56:34 | 小説
最近、『バッテリー』などで人気のあさのあつこ先生のSF第5巻。
主人公は天然ぼっちゃんの紫苑と、所謂切れ者のネズミのお話。
主人公らをほっぽって、脇役の実は少女らしい、イヌカシにハマってる。
4巻の最後で、紫苑たちがとあるところへ潜入する事になったので、5巻でイヌカシの出番は無いなぁ、と思ってたら、ちゃんとあった。
やた!さすがだよ、あさの先生。ファン心を突つくのが実にうまいよ。

添付は5巻がでるってんで、イヌカシ祭りと化した落書き帳から。
いやはや、タンクトップに肩ずれTシャツと云う、こんな王道的な格好のはず無いんですが、、、季節冬だし、、
調子に乗って、イヌカシメインのショートストーリなんか考えてにまにましてた。
だけどね、自分の中でイヌカシがずいぶんと美化されているってことに5巻を読んでいて気付いたね。
よくよく考えたら、犬に育てられて、いつも犬といっしょ、風呂はいるのもたまに、、、、となると相当くさいんだろね、、、
それでもイヌカシはやっぱりよいなぁ、と5巻読んでまたもにまにましてたんですがね。

あぁ、普通は紫苑とネズミの話で盛り上がるんだろうけどなぁ、すいませんね、萌え野郎で。。。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

博士の愛した数式

2005-08-26 00:29:14 | 小説
小川洋子『博士の愛した数式
これまた、本読みの知人数人から、良い、と聞かされていながら、文庫本が出てない&本を探すのが下手なため、読めずにいた本なのですが、先日ブックオフにふらっと行ったときに、ぼーっと書棚を眺めていたら、『ここよ、ここ』と自己主張していたため、まぁ800円ならええか、と買ってしまいました。

小川洋子さんは以前、『密やかな結晶』を読んだのですが、なぜそんなことが起きるのか、といった謎解き的なものを想像して読んでしまったため、ちょっと肩すかしを食らった感がありました。ワタシの勝手な思い込みによる、勝手な肩すかしです。
その勘違いを差し引いても、なんというか、感情描写の言い回しがステキな作家だなぁ、というのが、小川洋子の印象でした。

で、博士ですが、、、、
もう、主人公である『私』、『博士』、『ルート』とみんないい人で、たまりません。
『ルート』が博士のために江夏について調べたりするあたりから、彼らの慈愛というやつに触れるたびに、涙してしまいました。
今回もまた、感情描写がステキで思わず『はぁ、、、きれいな文章だなぁ』と、ときめくオヤジが一匹。一匹いたら30匹はいるよ、多分。
特に、台所で料理する『私』を眺める『博士』のところが、ステキでした。
とにかく、『博士』に何度キュンとさせられたことか、、、ヤバいかな、オレ。
また、ありきたりな結末を持ってこないあたりもよかったです。

京極堂ほど分厚くないんで、さくっと読めちゃいますから、おすすめです。
でも残念な事に文庫本になってません。今度映画化されるらしいので、その折に文庫化されるやもしれません。
映画は寺尾聡と深津絵里らしいので、深津好きなワタシとしては楽しみです。
正直、本を読んだ時点でのワタシの『博士』のイメージは、無精髭を生やした鹿賀丈史(もしくは小泉首相か?)みたいな感じだったんですが、寺尾聡も無精髭は似合うのでまだOKかな。ちょっと肉付きを軽くしてほしいですけどね。
深津絵里は『1999年の夏休み』の頃から好きです。『1999年の夏休み』は萩尾望都の『トーマの心臓』をモチーフにした映画という事で興味を引かれたのですが、それ以上に深津絵里のボーイッシュさにやられてしまいました。
『私』役としてはいい感じではないでしょうか。

こうなると、『世にも美しい数学入門』も俄然、気になります。

添付はボーイッシュな髪型の深津、、、深津の茶髪なんて見た事ないよ、、、いや、じつのところ、ボーイッシュな女性描いて、おまけ点けただけです。すいません。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

姑獲鳥の夏

2005-08-22 01:36:03 | 小説
知人から借りていた京極夏彦の本があり、借りてからずいぶんと手を出さずにいたんですが、映画化という話を聞いて「そういや、京極の分厚い本を一冊借りっ放しだったなぁ』と引っ張りだしたら、件の『姑獲鳥の夏』でした。

正直、分厚いのに抵抗があったんですが、読み始めるとすごく読みやすいもんで、びっくりしました。
でも、1/4読んでも事件現場にすら到達してない推理小説(あれ?推理小説ですよね、これ?)ってすごいっす。
しかも、そこに至るまでの京極堂と関口とのやり取りが無駄になってないのには、ほんと、恐れ入ります。

しかもラストシーンなんかは横溝シリーズにも通ずるような、王道的な終わり方にも関わらず、泣いちまったよ、オレ。
(おもわず、『寄生獣』のあのシーンを思い出したからかもしれません。)

わりと、小説を読む場合、いい作品ほど頭に入り込んで、その場の情景が見えてくるんですが、今回もずいぶんと見えましたので、自分の中では面白かったんだと思います。
京極夏彦自身が『爆笑問題のススメ』で”自分の本は通俗娯楽で、万人に受けなくてはならない”と云った事を仰ってましたが、いやぁ、面白かったっす、(本の厚さと、アナタの格好で)食わず嫌いしててすいませんでした。と、とりあえず西の空に向かって叫んでおきます。(京極夏彦はそっち方面だと思われる)

で、正直、映画を見るかどうか、と云われるとちょっと迷います。
よく使われる宣伝文句として『映像化不可能と云われた』とか、観た人の『やっぱり映像化不可能でした』的な言葉があるようですが、ワタシからするとどこが『映像化不可能』なのか、検討つきませんでした。たんに演出の仕方次第でこの作品の雰囲気ってのは十分表わせる、と思いますが、どうなんでしょう?
ある意味、小説を読んで頭の中にイメージが出来ちゃっているものですから、それを映画を見る事によって壊されるのはいやだな、と。
つーか、キャスティングがイメージと違いすぎているのも、、、京極=堤、関口=永瀬からして違うし、久遠寺涼子=原田知世、榎木津=阿部寛、果ては敦子=田中麗奈なんて、、、なんか全部ちがうんですよ、見事に!
オレ的には京極は無愛想かつ怪訝な顔つきのぺ・ヨンジュン(なんだろね、これ)風味なものなのです、頭ん中では。
あぁ、とりあえず、間違ってるよー、と北の空に叫んでおきます。(実相寺はどうもそっちにいそうなんで)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする