鳥まり、参る!

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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ティボルト・その3~

2013年09月28日 | 感想文
あんまり長くなっちゃったので別記事にしました。
続きいきますね

~ティボルトは幸せである~

で、マキューシオを殺してしまったティボルト。
ロミオ・ベンヴォーリオ達が泣き悲しむのを、キャピュレットの仲間達と笑って見ています。

ここの場面でも加藤さんの演技良かったですね。
ナイフを舐めたり(?)女の子達にキスしたりするんだけど、目が空しそうというか。

で、そんな様にに怒ったロミオに報復されてティボルトは殺されてしまうと。

これがティボルトというキャラクターのラストシーンです

結局ジュリエットに告白できず、愛するジュリエットを奪ったロミオを殺すこともできず、彼はあっさり殺されてしまう。

これね、なんの救いもないように思えるけど、ティボルトにとって一番幸せな最後だったんじゃないかと。

キリスト教だと自殺って大罪でしょ?
ロミオとジュリエットは愛のために死ぬわけだから、そんな戒律知ったこっちゃないというか、気にもしないはず。
でもティボルトが自殺するとしたらなんの支えも希望もなく死ぬわけで…あまりに辛い。

生き延びていたとしても、ティボルトの残りの人生絶望しかない。
ジュリエットはロミオと街を出て二度と会えないか、やっぱりロミオと死んでしまうかだもの。
パリスと結婚してヴェローナに残ったとしても…ねえ?

ジュリエットがいてくれるからギリギリ生きてる人だから。
ですからね、ここで死ねたのは幸せだと思う。
これ以上憎しみを重ねても、悲しんでも、辛いだけ。

命を粗末にしてはいけない、と現代なら言える。
でも時代を考えたら、そこしか救いがなかった人っていっぱいいるよね。
人間は誰でも時代と国と家と、あらゆる環境に影響されて生かされてるのだし。

彼の人生に最後の救いをもたしたのが、ジュリエットの最愛の人・ロミオとは…人生ってとても不思議だな。
これはもちろんフィクションですけど。

ティボルトが死んだ時は正直、

「死ねて良かったね、もう終わりだよ」

と思った私なのでした
お疲れ様って感じ


~救いある、ジュリエットの言葉~

ロミオがティボルトを殺した、と聞かされジュリエットが

「ティボルトが…強くて優しい、私のいとこが…

と言ってくれるんですね、この脚本では。

その言葉がすご~く救いになって、心がポカポカしました。

「ティボルトのことを恋愛対象には見ていなかったけど、とても好きでいてくれたんだな」

って。
宝塚版ではロミオの追放に泣くばかりで、

「ちょっとでいいからティボルトに泣いてあげてほしかった…

と思ったので。

そうそう。
私はティボルトばかり見ていて気が付かなかったのですが、他のお客さんが

「仮面舞踏会のシーンで、パリスと踊る時は困った顔してたジュリエットが、
 ティボルトと踊る時は安心したように嬉しそうな顔してて良かった

と言ってました。
す…素敵すぎます
フランク莉奈さん、グッジョブ
加藤和樹さんばかり見ててすいませんでした(笑)

ちなみにフランス版のジュリエットも、ティボルトと踊るシーンでは心許した無邪気な幼い笑顔で、本当に楽しそうに踊ってくれます。
素敵

カーテンコールではジュリエットの隣で笑っていて、すごく嬉しかったです。
そうでしょそうでしょ、ティボルトは主役の一人なのよ~

っても、最後の最後でジュリエットとロミオが手を取った時、当然ティボルトは手をつながないので、

「あ……」

と思ったけど。
でも嬉しい


私が『ロミジュリ』の映画作るなら(聞いてねーよ)
ティボルトとジュリエットの会話シーン色々作っちゃいますね
ジュリエットにはぜひティボルトを「おにいさま」と呼んでほしい~
そんでもって

「ジュリエット…もう子どもじゃないんだから、ティボルトと呼んでくれ」

と微笑むシーン作りますわ
仮面舞踏会では

「お前のことは必ず俺が守るから、安心しろ」

というセリフを作る。
作るったら作る
直後、ロミオと出会っちゃうんだけどね(笑)

おっと、妄想が過ぎました。
失礼いたしました~


大人の力=貴族社会=権力社会=時代。
に振り回され、苦しい人生を生き切ったティボルト。
彼の苦悩も魅力も、しっかり演じてくれた加藤さんは素晴らしいなと思いました。

凰稀かなめさんの健気なティボルトも、フランス版の超絶セクシーなティボルトも大好きなんですけど、加藤和樹さんのティボルトも最高でした
理想のティボルト像を見事にひとつ作り上げてくれましたね。

10月5日までこの舞台は渋谷のシアターオーブで、その後は10月27日まで大阪公演があるらしいので
(今調べた)
加藤和樹ティボルトが気になった方はぜひ観てほしいです。
くどいですが、最高だから

長~いティボルト語りを読んでくださってありがとうございます

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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ティボルト・その2~

2013年09月28日 | 感想文
お待たせしました『ロミジュリ』感想の続きいきま~す
今回も語るのは、加藤和樹さん演じるティボルト
彼の演技や歌を中心に書いていきますね。


 ↑
バストアップの画像とってきました。
黒い髪のティボルトもいいね~。

~お兄さんらしい、クールなティボルト~

加藤さんのティボルトを一言で表現すると…

「大人っぽい

これですね。
他のお客さん(幼い人が多かったし、服の感じからして、俳優さんのファン?)は

「色っぽい

「エロい

とセクシーさを褒めている人が多かったんですが、私はあまりセクシーさは感じなかったかな。
や、カッコいいなとは思いますよ
ルックスはもちろん、彼は声がとってもキレイですしね

宝塚版の凰稀かなめさん演じるティボルトは“思春期らしい、色々素直なティボルト”でした。
すごい表情がわかりやすいし、悩んでるのが丸わかりという感じで。

それに対して加藤ティボルトは、すごく落ち着いてる。
感情コントロールが上手いっていう意味じゃなくて、本心を他人に見せない。
他人に対してすご~くバリアを張っている。

キャピュレット夫人もキャピュレット卿もティボルトの本心はわからない。
大人達に心を見せないのはいいんだけど、若いキャピュレットの仲間にもそんな感じだったので孤独感が漂っていましたね。
女の子達といちゃいちゃくっついていても淋しそうというか空しそうというか、瞳の奥が笑っていない感じでした。
お見事

文学を気取った下手くそな表現を使うなら、

「(加藤和樹演じる)ティボルトの心は氷の城に閉ざされていて、誰も触れないし中に入れない。
 彼は心を凍らせてる」

って感じですかね。
文学というか中学2年生病的な表現になってしまった…。
文才ないね、私


~ティボルトの空気であり太陽であり、心臓であるジュリエット~

「公式HPの動画を観て、
 加藤和樹のティボルト観に行く決心しました

と書きました。
とはいっても

「完璧

と思ったわけじゃなくて…。
動画で聞けるのは『今日こそその日』だったのですが、あまりジュリエットへの恋心と苦悩がわかんない…上手くさらっと歌っているようでね。

なので

「ちゃんと進歩してるかな?
 感情込めて歌ってくれるかな?」

と心配半分で観劇したのですよ~。←何様だよと思うくらい上から目線。すいません

で、当日のティボルト…。

すっごく………良かった…です
ああ、今思い出してもキュンキュンきます

何が良かったって、ジュリエットに対する恋する態度ですよ
上にも書いたように“大人っぽい、心をぜったい見せないティボルト”なのに、ジュリエットのことになると違う人間になっちゃうんです。

キャピュレット家の莫大な借金を肩代わりしてもらうために、ジュリエットを大金持ちのパリスと結婚させようとするジュリエットの両親に、必死にとめようとするティボルト
氷の城だった心が、一瞬で“恋するただの男”に。
表情が素直すぎて、かわいすぎる~

ジュリエットといる時のティボルトは、本当に瞳も、オーラも、愛と優しさが溢れていて…生きる喜びに溢れているって感じ。
加藤さん、演技が上手すぎるよ

「ああ、ティボルトって本当は清らかで優しい人なんだな…。
 この本来の魂のまま、生きられたら良かったのにね…。
 時代って残酷だね

と思ったもの。

だからやっぱり、この『ロミジュリ』という物語は、やっぱりあの時代でこその物語ですよ。
現代風アレンジやめてください、まぢで

ティボルトがジュリエットを愛しているのは、ジュリエットが優しいからとか可愛いからってのはもちろんだけど、それ以上に魂の本質が似ているのでしょうね。
清らかな温かい魂なの~

ジュリエットはティボルトの理想であり、心の支えであり、不条理な人生での唯一の救い。
最後の希望というか。
ティボルトは成長するにつれて自分の“清い魂”を売り渡していくけれど、ジュリエットは強いからぜったいに売らない。
その強さにも惚れてるんだろうな~。
ロミオがジュリエットを愛したのと同じに。

切ないよ

ちなみに、ティボルトがめちゃくちゃ敵視する大金持ちのパリスさん、めちゃくちゃ陽気で楽しい人です。
物語的に悪役ポジションだけど、ロミオとジュリエットと張り合えるくらい、人間的には素直で良い人だと思う。
服のセンスは

「お前、大丈夫かよ

って思うセンスですが(笑)
気になる人は公式HPを見てみてね。


~素晴らしすぎるティボルトのソロナンバー~

演技も素晴らしければ、歌が良すぎる!
魂こもっていて、私は思わず泣きそうになってしまったほどです。

全部良かったけど、やっぱり『今日こそその日』が最高かな。

ロミオとジュリエットの結婚を知ったティボルトが怒り狂って歌うの。

「ロミオを殺して、奴の死体の前で、ジュリエットに告白する

って。
おいおい、そんなことしたらジュリエット一生許してくれないよ
という感じですが、きっとこの歌は

「ロミオを殺して、ジュリエットに告白して、ジュリエットに憎まれて死にたい(自殺したい)
 彼女に憎まれれば、何も未練なく死ねる」

という意味なんじゃないかと思う。

愛するジュリエットを汚されて(本当は汚されてないんだけど)、彼女が誰かのものになったら、自分は生きてる意味なんかない。
そもそも、彼は自分にも人生にも絶望していて生きていることが不思議なくらいなんだよね。
ジュリエットという空気=太陽=心臓が存在していてくれるから、ギリギリごまかしながら生きている。

借金だらけ、業だらけの名家だろうが、実の叔母さんの愛人になろうが、愛する人と永遠に結ばれなかろうが、
ジュリエットが生きているかぎりは彼女を守れるし、少しでも側にいられると。
(ちなみに、キャピュレットの男の子達は全員ティボルトの気持ち知ってた感じでした。
 結婚式の隠し撮り写メを見せる場面でそう思ったよ)

怒りにコーティングされた絶望と悲しみが、歌声と表情に出ていて良かったなあ~


~ティボルトは、幸せである~

とかってロミオを殺すと決意したティボルトなんですが、その前にマキューシオの

「お前、実の叔母とデキてんだろ?」

との暴言にブチ切れてマキューシオを殺してしまいます。
うん…気持ちわかるな…言われたくない言葉だよね。
本当は愛人なんかになりたくなかったんだもん。
ジュリエットへの愛にだけ正直に生きたかったんだもん。

で、死ぬ間際にロミオに

「ロミオ、ジュリエットを愛し抜けよ…」

と言ってくれたマキューシオ。
実は彼はそれまで

「敵の女なんか好きになるな、裏切りだぞ」

って二人の恋に反対しているんです。
でも、

「あ、死ぬ…俺、死んじゃうんだ」

と思ったら

「敵の女はやめとけ」

ではなく

「愛し抜け」

と言った。
つまり、本当はマキューシオもティボルトと同じように純粋に人を愛したかった。
大人や先祖が決めた常識ではなく、自分の気持ちに従いたかったということですね

「大人の力に負けたりしない♪
 俺たちこそが王♪
 俺たちの王は俺たちなんだ♪」

『世界の王』(この舞台のテーマソング)の歌詞が刺さるね。

~いくらなんでも長いので次の記事に続き書きます~

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