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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ティボルト・その1~

2013年09月26日 | 感想文
さてさて、まだまだいきます『ロミジュリ』感想
今回は大好きなティボルトだよ

前にも書きましたが、加藤和樹さんのティボルトが観たくて観に行ったのですよ私は
公式HPの動画を見てもらえばきっと多くの人が

「いい…

って思ってくれるはず。


 ↑
加藤和樹さん演じるティボルト。
この衣装ちょっとカッコいいね。

今回は演じる加藤和樹さんよりも台本メインで書いていきますね。
次の記事で加藤さんの演技や歌についてしっかりかきますので


私ね、この『ロミジュリ』の主役は3人いると思ってるんですよ。
ロミオとジュリエット、そしてこのティボルト。

ティボルトはジュリエットのいとこ。
ジュリエットは一人娘なので、いとこのティボルトがキャピュレット家の跡取りということになります。

キャピュレット家はいとこ同士の結婚が禁止されているんだけど、物心ついた頃からジュリエットをず~っと想ってきたという設定です。
この“ティボルトは、ジュリエットを愛している”という設定がこの舞台の鍵

そしてもうひとつは、彼はジュリエットのお母さん=血のつながった叔母、の愛人だというのが大切な設定です。
ハッキリ肉体関係があるって宣言されちゃってましたしね
(宝塚版だと、持っているとも持っていないとも解釈できる表現だった)

彼の歌で

「初めて女を抱いたのは15の時。
 金髪、黒髪、色んな女を抱いてきた。
 けれど、たった一人触れることもできない女性がいる。
 それは俺が愛するジュリエット」

という意味の歌詞があります。
これで

「ああ、きっとティボルトは美形って設定なんだろうな」

と思いました。
美形で若いもんだから、ジュリエットのお母さんに気に入られて手を出されてしまった。
悲劇

「ジュリエットの代償に、お母さんに手を出したのかな?」

とも思ったんですが、やっぱりそうじゃないと思うんですよ。
だって、ぜったい嫌じゃん。
愛する女(“抱きたいだけの女”ではない)の母親と関係持つなんて。
いとこより叔母の方がタブーに決まってるし。
この禁断の関係のせいで、彼は一生キャピュレット夫人に支配されてるようなもんです

キャピュレット夫人、はっきりいってこの舞台で一番ろくでもないキャラですからね。
すげー悪いヤツです。
最初は彼女も権力争いと貴族社会の被害者だったんですけどね。

夢見る幼いジュリエットに

「お母様がね、今のお前のように若くて綺麗だった時…
 お母様は、自分のお父様に売られたのよ。
 お前のお父様に、売られたのよ」

と呪いの言葉を吐く毒親
彼女の主張は事実なんですよ。
政略結婚なんて女の売買だから。

でも、かつての被害者だった彼女はすっかり加害者側の人間に…。
ティボルトにやったこと、許すまじ

しかもジュリエットに

「お前はね、お母様が浮気して産まれた子どもなのよ。
 お父様の実の子じゃないの」

と言い聞かせる始末。
このセリフのせいでお客さんには

「え
 浮気して出来た子どもってことは…ジュリエットはティボルトの子どもなの

と思った人がいるみたいです。
(トイレとかホワイエで話してる人がいた)

でも、それはありえないッス。

原作でもこの舞台の脚本でも年齢は明記されていませんが、ジュリエットとそんなに年は離れていないから。
ジュリエットの少し年上ってとこでしょうか。
(原作ではジュリエットは13才。この脚本だと16才。
 ティボルトは15~20才くらいだと予想)

私が脚本書き換えるなら、

「キャピュレット夫人の最初の愛人に似てるから、ティボルトが手を出された」

って設定にするね(聞いてねーよ)
終わらない代償行為の悲劇

最初の紹介でティボルトは

「いつ切れるともわからぬ、危険な男」

と言われて登場します。
なんでティボルトがそんなにイライラしてるかっていうと、

「生まれた時から敵がいて、憎め争えと洗脳されていくことへの怒り」

「たった一人の愛する人への想いさえも、一族に禁止される不条理」

「本当はこんな風に生きたくないと願いながら、この世界で生きていくしかないんだという絶望」

…これらが理由でしょう。
そりゃ辛いよね。

ソロでティボルトははっきり

「俺はこんな風になりたくなかった、大人が俺をこう変えた」

って歌っていますし。

それに対して

「ティボルトって男らしくない。
 なんでも他人のせい、俺は悪くないって、子どもじゃないんだから。
 好きじゃないな」

と話してる人がいたのだけど、私はそうは思わないな。

現代の感覚で
(まあ…この演出じゃほぼ現代っぽいんだけど)
昔の時代の人を

「いい、悪い、好き、嫌い」

と定義するのはちょっと乱暴だと思うんです。
時代が違えば何もかもが違うからね。

「貴族社会を捨てて自分の望むように自由に生きればいいじゃん、家なんか捨てればいいじゃん」

といっても、あの時代の人に家や所属を捨てるのは、現代の日本人にしたら

「いきなり拉致されて、人間の誰もいないジャングルに捨てられて生きる」

くらいハードなことなはず。
そんなこと、できますか?
多分私なら1時間以内にワニか猛獣に食われて終わるね

ロミオは世間知らずっていうか、はっきり言って馬鹿だから何も考えず突き進めるんですよ。
ピュアの素晴らしいところ。
対してティボルトは、ロミオよりずっと賢く頭が回る。
汚いキャピュレット家で大人の世界を見ているせいもあるけど、

「理想通りに生きられっこない」

ってわかってる。
悲しいよ…

かといってジュリエットへの想いを捨てることなんてできない。
本当は正直に彼女への愛を意志表示して、本来の自分として生きていきたいのに。

だから彼はいつもイライラして自暴自棄。
色んな女と手当り次第肉体関係を持ち、叔母の執着を受け入れてしまっている。

悲しい男です。
歴史の被害者…。


長くなりすぎたんで、とりあえずここで切ります

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