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『失恋ショコラティエ』言いたい放題・その2。

2019年02月07日 | 言いたい放題
【第一話の大事なところ書き忘れてた…】

その1で書き忘れてましたが、肝心なところで第1話最後のソータの心の言葉が物語の核なんですよね。

もう答えが出てるといえば出ているという。

こんな言葉です。

誰もが認めるショコラティエになって

あなたの目にも否応なく入るくらい有名になって

「あの時捨てるんじゃなかった」

ってあなたに後悔させるんだ

そこで俺のショコラをこっそり食べたあなたが

「セ・ボン!」

って声をあげる

それが俺の夢だよ


たとえその声が俺の耳に届くことはないとしても

一番大事だからどでかく赤くしてみました。

怒りと悲しみを芸術(仕事でも趣味でも)で昇華させるっていうテーマがしっかり出てますよね。

サエコへの恋心が断ちがたくても、ソータの心の真ん中にあるのは自分のショコラ(芸術、仕事、そして自分の命)なんだと示唆してる。

「必ずあなたの本命になる!!」

じゃないんだもんね。

あくまで人生の主軸はショコラ=自分のいのち。

ソータは

「サエコさんが俺をショコラティエにしてくれた」

「導いてくれた」

と全巻通して感謝してますが、やっぱり選んだのはソータなんですよ。

ショコラの神さまが二人を出会わせて素晴らしいショコラを生み出した…そんな感じ。

サエコはソータに高級ショコラを教えて、導いて…というミューズ=芸術家に作品を生み出す情熱と直感を与えてくれる存在。として描かれますが、ソータはサエコをぜったい

「妖精さん」

と呼び、

「女神さま」

「ミューズ」

とは呼ばない。

小柄で愛らしい雰囲気だから妖精?ってだけではなくこの言葉選びがどんどん意味を成していくのです。

サエコさんは女神さまにもミューズにもなれないの、ソータの世界では。

そんなヒントがありつつ1話おわり。

面白いね!!

では続きの言いたい放題させてください

【第1巻】

第1巻の流れはドラマ版とほぼ同じ。

ロケの関係か違うところもありますがね。

サエコがボネール銀座店(ソータの働くお店)の閉店時間を狙って社員通用口で待ってます。

アクセサリーも服も露出も“かわいい私演出”もキメキメです。

サエコわかりやすすぎ(笑)。

閉店作業って何時間もかかったりしますから、根性あるよね。

(フライングだけど、のちに出てくる「女が使う古臭い手に男はぐっとくるうんぬん」のサエコ母の愛されテクには、「やりたいだけならそれで頑張れ。パートナーシップの決め手にはならん」と考えてる私です)

かけひき満載の甘い言葉でソータと話し込みます。

うるんだ瞳、赤らめた頬、健気でかわいい表情など本当に頑張ってる。

いわゆる“愛され愛されテクニック”“溺愛メソッド”を全力で体現してる感じなのです。

なんともなつかしい…。

チェックポイント→この時はペアリングもエンゲージリングもしてきていない。

う~ん…。

きっとソータがグイグイきてくれたら付き合いたかったんだろうねぇ~。

待ち伏せなど行動から本心は見えるもの。

“製菓学校を卒業する男の子”だったソータは本命候補にできずとも“自分が世界いち大好きな高級ショコラティエのスタッフでマスコミにも出た有名人”なら充分本命候補なのですね。

あ、一応

「ソータくんのショコラが大好き」

なのは本当だと思いますよ。

ただ、肩書きや周りの目を気にしないならフランス修行中にぜったいサエコはコンタクトとったはずで、とってないこと・テレビでソータを見て落としにきた…ってところでこの時点でのサエコの本音がわかるってもの。

で、次にくるのがドラマ版でも嵐を巻き起こした

「私今度結婚するの♡

 ウェディングケーキとデザート作ってほしいの♡」


です。

リアルタイムでドラマ観たときは意味不明すぎてわけわかんなかったんですが、原作で読むと意味が分かる感じ。

「おいおいサエコ…これでソータの恋心を再燃焼させられると本気で思ってるのかよ…。

 アイドルも俳優も結婚するとファンが悲鳴あげて悲しむだろうが…。

 結婚は別格なんだよ。

 そもそも、婚約破棄も妻の不貞もどれだけ慰謝料とられるかわかってんのかよ…。

 考えてもいないんだな…子どもかよ…」

と私はがっく~っときましたね。

サエコは

「若いうちに結婚!」

を目標にかかげて実行にうつすパワーはあるけど、結婚そのものは全然リアルに想像できてない。

あとからどんどん描写されるけど…結婚が早い人って(結婚が早い土地とかなら話は別だが)男女共に苦労して早く人生の基盤を築きたい人が多いんですけどね~実際は。

で、試作品を見に来る回1・2と続くわけですね。

美女キャラの薫子さんに

「妖精さんていうからどんな絶世の美女かと思ったらめちゃくちゃフツーじゃん」

と言わせる(心の中で)のはイイ感じ。

「美人なら美人なほどエライ」

「モテるのは美人(かわいいコ)」

という刷り込みに

「そんなことないから」

と教えてくれてますよね。

あと、さりげなくオリヴィエと薫子の会話で

「フランスにいたときのソータは色んな子とバンバンやっていた」

描かれています。

これも伏線ですよ~上手い!!

で、さらに

「うまい…うますぎる…」

と私が面白かったのが試作品を見に来る回2=サエコとソータが2人っきり×密室で過ごす場面。でございます。

今はやーっと

「性交渉の同意をとるのは大事です」

「俗説は都合のいい解釈でしかありません」

と言われてきて、実際その通り。

なので

「スカートはOK」

「部屋にはいったんだから同意」

とぜったい“現実の男女問題”に持ち込まないで欲しい。

“この場面のサエコというキャラクター”に対しての分析よ。

そこわかってくださいね。

では書きます。

サエコは“男に都合のいい愛されモテ女になれ”を忠実に頑張っているキャラ。

もうね~ヤル気満々ファッションなんですよ!

・ミニミニスカートから細い脚アピール

・脱がせやすいボタンワンピ

・柄物だから下にかわいい下着しこめる

・靴下はいてきたから、お腹にタイツ跡つかない


「わかる…わかりすぎる…」

って思いません?

私は思った。

あとこういうこと考えるのは真のセクシー遊び人ではないってところも。

(セクシー遊び人はド直球です。

 かけひきとかしない。

 その余裕こそが遊び人でいられる理由)

フランスで散々遊んできたソータはこんなサエコにまだ夢をみて

「どういうつもり?何も考えてないの?」

とも考えますが、冷めた目で見てもいます。

「普通にできるなぁ、この女のやってきた経歴考えても…」

でも一線こえなかったのは、サエコの恋愛対象としての執着がもうあまりないのと“不倫めんどくせ”感と“仕事にいざこざ持ち込みたくない”からだよね。

自分のお店持つのにお客さんの婚約者に手を出せるわけないよな~。

ソータは

「サエコさんは俺の妖精さん!

 恋してる!」

と語ってはいるけど現実的恋じゃないのだ。

もっと地に足ついたことを軸にして生きてる。

なのにサエコはいつまでもふわふわ考えていて、恋愛=モテる=落とす。にこだわっていい加減な行動をとる。

なかなかえぐく素晴らしい描写でございます。

あ、あとここでソータが使ってるティーポット&カップソーサーがすごく可愛くて好きです♪

現実にある商品なんだろうけど、どこのだろ~すごいカワイイです。

一応ソータが

「でもサエコさん大好き…終わりになんかできない…」

って苦悩してる場面がありますが、芸術家に必要なインスピレーション材料にすぎない感じだよね。

限りなくリアルな夢想。

ソータはそれを材料にして美味しいショコラを生み出すわけだから確かにこの恋に充分価値はありますけどね、オリヴィエに言わせてるとおり。

サエコも薫子さんも女性キャラは

「恋が私の人生そのもの」

と思っているかのようなキャラですよね。

それに対して男性キャラはもっと現実的。

そこもこの時代までの男女像を表現してる感じ…。

もう私はモテに執着する段階を終わらせちゃった気がするので(多分…)サエコとソータの恋のかけひきは

「うるせーめんどくせ~学生じゃないんやで!」

と思ってうっとうしいんだけど(笑)それだけじゃないから本当にこの作品は面白いです。

作者の水城さん自身がショコラを愛・愛・愛してるからかな。

出てくるお菓子全て現実的で美味しそう。

ムース・オ・ショコラは私も作ってみました。

ゼラチン使ってないのにふわふわ美味しくて

「ベーシックなお菓子いい~」

と思いました。

ボネール(ラデュレ)のショコラ食べたいなぁ~。

1巻に出てくるショコラで次に食べてみたのは、フォレノワール

黒い森のケーキ。

これはドイツ菓子だよね。

シュバルツバルドトルテ~。

…。

…てなわけで1巻の感想でした

最終巻まで言いたい放題する気満々です!


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