著者 : 綾辻行人<o:p></o:p>
生年 : 1960年<o:p></o:p>
出身地 : 京都府京都市<o:p></o:p>
初出版 : 1988年<o:p></o:p>
出版社 : 講談社<o:p></o:p>
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感想<o:p></o:p>
著者の舘シリーズの2作目である。舞台は山の中の洋館。三台の水車が電力を作り出す洋館には、主人の藤沼紀一と妻の由梨絵が住んでいる。藤沼紀一は13年前の自動車事故により、顔と手足に重傷を負い、顔にはマスクをつけて車椅子の生活を余儀なくされている。由梨絵は幼くして両親を喪い、紀一に引き取られて学校に行かずにこの10年間洋館の塔の部屋で生活している。館は本館と別館からなっている。本館と別館を結ぶのは中庭を囲む東西南北の回廊だ。物語は一年前の回想と現在が紀一の言葉で進行していく。一年前に住み込みの家政婦が塔の部屋から転落死し、その夜に洋館に滞在していた客が殺され地下の焼却炉で焼却されるという事件が起きた。そして犯人と見られる客は姿を消した。そして1年後にまた同じメンバーが客として洋館に集まる。しかし、今回は目新しい人が混じっている。犯人とされた行方不明の客の友達という男は島田潔と名乗り、1年前の事件の真相を突き止めるために来たという。客たちは、回廊に飾られた紀一の父親の藤沼一成画伯の遺した絵を見に来るのである。画伯は幻視したものを描いていたが、最後の遺作「幻影群像」は息子の紀一が秘匿し、幻の作品になっている。それを是非見たいというのがこの洋館に毎年通ってくる理由だ。そしてこの洋館の建物自体にも秘密があるらしい。そして今回も惨劇の幕が切って下された。<o:p></o:p>
いかにもおどろおどろしい設定である。人物も状況もリアリティーのない虚構の世界だが、密室のトリックといい、どんでん返しにつぐどんでんがえしだ。犯人の推測はつくが、すべての謎解きは最後にならないと解けない。<o:p></o:p>
非日常を味わうミステリーの醍醐味が溢れている1冊だ。<o:p></o:p>
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