著者 : 佐々木譲
生年 : 1950年
出身地 : 北海道 札幌市
出版年 : 2015年
出版社 : (株)小学館
☆☆感想☆☆
石狩川とそれから続く運河で四方を囲まれた運河町の街路図が小説の始めに添えられている。主人公の岩崎俊也はその街路図をたよりに町を歩き回る。かつては水運で栄えた郡府の運河町。今は主要な産業もなく廃れている札幌のベットタウン。岩崎俊也は20年前この町で亡くなった父の面影と死の真相をたどるためにやってきた。さらに20年前、今から40年前にここの国立の法科大学を父と今は亡き母も卒業した。二人が青春を過ごした町でもある。父が亡くなったときに所持していたものを手掛かりに運河ホテル、硝子町酒房、そして法科大学へ足を運ぶ。出会う人たちの口は堅い。
古い旧市街の風景で古き良き時代に引き戻されるが、ミステリーは苦く、暗い良心の呵責がオカルト的に具現化し不気味な雰囲気も醸し出している。