著者 : 佐々木譲
生年 : 1950年
出身地 : 北海道
出版年 : 2006年
出版社 : (株)新潮社
☆☆感想☆☆
川久保巡査部長は、北海道警察本部の一つの地方10年いたら別の地方へ異動させるという新方針で、札幌から十勝地方の農村、志茂別町駐在所への異動を命じられた。25年の警察官人生の中で刑事課の捜査員として勤務していた川久保にとって駐在所勤務は初めてだった。高校生の娘2人と妻を札幌に残して単身赴任で志茂別町にやってきた川久保が遭遇した5つの事件の顛末である。隠ぺいされてきた闇が白日の下に曝されていく。
1つ目は「逸脱」。地元の防犯協会会長ら3名の有力者が赴任して4日目の川久保に挨拶に来ているところに、町営墓地で若い人が騒いでいるという一報が入る。有力者の助言に従って2報が入るまで待つことにしたが2報は入らなかった。翌日高校3年生の男の子が昨夜から行方不明との1報が入る。
2つ目は「遺恨」。犬が散弾銃で撃たれたと通報してきた酪農家。本土からエゾシカ撃ちに来たハンターか、近所の変質者か。
3つ目は「割れガラス」。バスの待合室で男の子がカツアゲされているという通報を受けて出向くと、一人の男が恐喝していた若い男を追い払って子供を助けたという。
4つ目は「感知器」。不審火が続いている。
5つ目は「仮想祭」。前任者から引継ぎをうけた事案の中で一番気になっていたのは13年前の少女誘拐事件だ。13年前と同じ仮想祭が今年復活する。失踪した少女の母親も事件当時の駐在勤務の退職した警官も集まってきた。
川久保巡査部長の活躍するシリーズは「暴雪圏」がある。