『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想163  たそがれ歌麿  新古着屋総兵衛9

2015-02-25 01:15:32 | 小説(日本)

読書感想163  たそがれ歌麿  新古着屋総兵衛9

著者       佐伯泰秀

生年       1942年

出身地      北九州市

出版年月     2014年12月

出版社      (株)新潮社

 

★感想★

 10代目大黒屋総兵衛こと、鳶沢総兵衛勝臣は、順風満帆の初夏を迎えていた。長年敵対していた薩摩藩と和睦がなり、安南からの刺客も倒したからだ。総兵衛の下には鳶沢一族、琉球の池城一族、安南から来た今坂一族、伊賀忍者の柘植一族が結集し人的にも規模が拡大している。そしてイマサカ丸と大黒丸は南方に交易に出航中。大黒屋は入堀の対岸の久松町の炭問屋栄屋の土地と建物を購入したことで、古着大市の会場が入堀の本拠地の富沢町と久松町に拡大した。それで次回の古着大市のために入堀に架かる老朽化した栄橋を大黒屋の費用で架け替えることにし奉行所の許可も得た。新しい栄橋を建設にかこつけて入堀で分断されている大黒屋の敷地を一体化し、橋下に隠されている石造りの秘密の船隠しの改築も行おうと目論んでいる。橋の建設を請け負う棟梁はこうした秘密を知らず、大黒屋の下に集まった一族が棟梁と仕事をしながら秘密の工事もすることになる。ある日、総兵衛は許婚の坊城桜子とともに大目付本庄義親の屋敷に招かれた。そこで喜多川歌麿に引き合わせられ、その絵に魅了される。本庄家からの帰路、総兵衛と坊城桜子は何者かに襲われた。もう敵はいないはずなのに。

 そして野分が来た。建設途中の栄橋は濁流の中。

 このシリーズはどのように展開していくのだろうという興味でずっと読んでいる。南方のベトナムとかインドネシアとかが舞台になっていくのかと予想していたら、文化文政の江戸文化の爛熟期の江戸を持ってきた。その時代を象徴する人物として喜多川歌麻呂が出てくる。大黒屋も人が増え、ますます大所帯になっていく。高度成長を続けているわけだが、時は低成長の時代だ。これだけの人数を養っていくだけでも大変だ。

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