『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

翻訳  朴ワンソの「裸木」14

2013-05-15 21:44:01 | 翻訳

 

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 売場の一隅にクリスマスツリーが立てられ、ショーウィンドに飾られたサンタクロースと橇を引く4頭のトナカイには様々な電球がきらきら光っていた。売り場は最近一層込み合って、特に韓国物産部は山場を迎えたように混雑した。<o:p></o:p>

 

 龍や孔雀を刺繍したハウスコートやパジャマが羽が生えたように売れるかと思うと、小さい花かごが品切れになる騒ぎまで起きた。<o:p></o:p>

 

 こうして韓国物産部では業者が好景気を享受して、米国物品売場のお嬢さんたちは、GIとのデートの約束、パーティーの予約、米国に注文した品物の自慢などで見境もなくそわそわしていた。<o:p></o:p>

 

 表に出ると相変わらず町は侘しく、いつ何が落ちるかわからない前線都市特有の暗澹たる不安な気分が重く沈殿していて、誰もが中途半端に場慣れしない外国の祝祭日に見境なく身を投じてはいなかった。<o:p></o:p>

 

 肖像画部も侮れないたくさんの仕事に終日忙しい間でも、時々私はとんでもない失敗をするほど落ち着かず、またひっそりと帰宅する途中の路地では突然不安に震えた。しかし、既にそんな落ち着きのなさがクリスマスを前にした人々の興奮と同じであるはずがなく、またそんな不安が戦争や暗闇に起因するものだけであるはずもなかった。<o:p></o:p>

 

 私は今やオクヒドさんを愛していると思い始め、そんな想いは時として苦しく、時として甘美で、どうしても怖ろしくなり、いずれかのはっきりした感情を選び抜くすべがなく、その想いから少しも脱け出せなかった。<o:p></o:p>

 

 泰秀は忙しくサジンの後をついて回りながら、クリスマスの飾りつけに忙しい中でも、とんでもない所で、梯子の上とか、ショーウインドの窓枠の上のような所で〈ハーイ〉と私を呼んでいたずらするようにウインクを送ったり、通りすがりに作業服の尻を私のテーブルの上に臆することなくのせてふざけた話をするのが好きだった。<o:p></o:p>

 

「どうだい? 僕、今電気工がしっかり身についたかい?」<o:p></o:p>

 

「それがそんなに満足なの?」<o:p></o:p>

 

「満足さ。今は梯子の上でぶるぶる震える代わりに、かなりゆっくりと景色を楽しむぐらいさ…」<o:p></o:p>

 

「景色?」<o:p></o:p>

 

「素晴しい景色だよ」<o:p></o:p>

 

 彼はドライバー、ペンチのようなものを持って、がちゃんと金属音が出るように手慰みをしながら、その景色というものを解釈した。ミス某はね、つむじが二つとか、ミス某のみすぼらしいネックラインを通してブラジャーでもない〈何か〉が見えたんだよとか。私が腹を立てると、<o:p></o:p>

 

「僕はミス李をちょっと笑わせようと、せっかく準備したユーモアなのに、そんなに怒ったら恥ずかしいじゃない。だからちょっと笑って見て。笑うのは美容にも良いし、健康にもいいのに…」<o:p></o:p>

 

 私は仕方なく笑ってやりながら、<o:p></o:p>

 

「もう行って。サジンのパルコムにばれて、首を切られないで…」<o:p></o:p>

 

 彼は首をいたずらするようにすくめて、<o:p></o:p>

 

「それは駄目だよ。駄目ではなくて、首が切られればミス李が若い奴を一人すっかり捨てるようになるから」<o:p></o:p>

 

というのがいつもの事だった。<o:p></o:p>

 

「ミス李、踊れる?」<o:p></o:p>

 

 今日は少し目新しい言葉をかけてきた。<o:p></o:p>

 

「踊れないわ。どうしてそんなことを聞くのよ?」<o:p></o:p>

 

「何日か経つと、地下室のスナックバーで従業員のためのパーティーがある」<o:p></o:p>

 

「パーティー?」<o:p></o:p>

 

「うん、ヤンキーのおごりだよ。何かポップコーンやコーラは無尽蔵に食べさせてくれるんだとか」<o:p></o:p>

 

「恥ずかしい。わずかなポップコーンとコーラだけ?」<o:p></o:p>

 

「じゃ、ステーキでも望んでいるのかい?」<o:p></o:p>

 

「ステーキとコーラとあら恥ずかしい」<o:p></o:p>

 

 突然の湧き上った怒りを持て余して、私は手に握っていた紙のようなものをやたらにしわくちゃにして、<o:p></o:p>

 

「私は全然そのコーラとかポップコーンが嫌いで、気が狂いそうなの。大家のくず食べ物。まさかミスター黄も飢えたように、そんなものをもらって食べようとパーティーに行こうと言うのではないでしょうね?」<o:p></o:p>

 

「うん、何かもらって食べようというんじゃなくて、パーティーというのに行ってみたい。行ってミス李を抱いて踊<o:p></o:p>

 

ったら済むよ。」<o:p></o:p>

 

「まあ…私は踊れないと言ったじゃない」<o:p></o:p>

 

「踊れないのは僕も同じさ。それが何かそれほど大きな問題があるって…とにかく僕もそうして全力を尽くすよ、どうだい? そうして踊らないかい、ミス李?」<o:p></o:p>

 

 私はまた仕方なく噴き出した。彼の子供っぽく見える年齢のせいなのだろうか? そんなことを人目もはばからずしゃべっても、見るからに陰険でふてぶてしいと少しも思えなかった。<o:p></o:p>

 

 どんな下心も隠さない単純な望みで、彼の平凡な顔が少年のように輝いた。<o:p></o:p>

 

 それはしばらくの間でもポップコーンやコーラについての嫌悪感を抑え付けても、男にふさわしい新鮮な魅力だった。私はそれを押し通すように力強く頭を倒した。<o:p></o:p>

 

「意地っ張り、考えてみてよ」<o:p></o:p>

 

 彼は別に寂しがりもしないで、片目をしかめてみせてから行ってしまった。<o:p></o:p>

 

 昼食時間に久しぶりにダイアナ金が来た。彼女はとても興奮していた。<o:p></o:p>

 


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