[翻訳] これはパイプではない2 NO.2
二度目のアラームのベルが無慈悲に響く。それは信号のように鏡の中の映像が水面の上の同心円のように遠く広がって消える。いつの間にか少女も歌も痕跡をくらます。イミジは忽然と消える、その夢の尻尾を捕まえようと、手を伸ばして目覚めてしまう。手には携帯電話を持っている。ああ、今になってわかる。その少女は・・・・その少女は以前亡くなった妹だ。夢の中でより夢から覚めてこそ閃光のように一層明確になることがある。
妹がこのように夢の中に現れたのは本当に久しぶりだ。妹がうら悲しく歌った歌のリフレーンの節が、イミジの頭の中で繰り返し続ける。ドナドナドナドナドナドナドナ・・・・その歌は昔から胸をとてもえぐった。彼女はまだ眠りから覚めていない状態で、いち早く枕の下を探してメモ手帳に「ライラック」「ひよこ」「鏡」「遠く広がる同心円」「馬車の上に載せられ行く悲しい目の子牛」と走り書く。おそらく妹の夢を見たのは少し前に発行した「恍惚とした地獄」という長編小説のためだろう。その作品は一人の女の子の成長期を扱った小説で、イミジの自伝小説だというタイトルをつけて出した。
イミジは目をつむったままで長い息をして吐き出す。ゆっくりと・・・・しかし呼吸は長いため息のようにまもなく収まる。そっと眉間にしわを寄せる。そうこうするうちに仕方なく目を開けて少し虚空を凝視していて首を回す。Dream Catcher。ベッドの枕元にはDream Catcherがかかっている。米国旅行中ナイアガラ瀑布記念品店でインディアンが作った手工芸品だと買ったものだった。蜘蛛の巣の形を写して作ったというdream catcher。丸いが中に蜘蛛の糸のように網が張られていて、その範囲に長く結びついた四つのひもには鳥の羽毛や獣の毛が装飾されている。眠る時に枕元にぶら下げておけば、網が悪夢を生け捕りにして朝まで人間を守ってくれるとインディアンが信じている物。しかし、彼女は必ず悪夢を退けるという意図よりは、夢や無意識中に何か小説の霊感を得たいと言う望みが一層強かった。それで彼女には蜘蛛の巣よりはかえって小さな魚網のように見えるdream catcher。うたた寝状態を楽しみながら意識と無意識が重なる水面で魚のようにピチピチ跳ねる霊感やイメージを拾い上げるのは・・・・そのように何か捕捉すると、なくなる前にそのまま生活の網に捕らえておかなければならなかった。それでいつもメモ手帳を枕の下においたりする。
後でそのように書きなぐっておいたものを読んでみたら、まるで難解な詩を読むようだけれど、それを結び付けてみると超現実主義の絵のように感じる時もある。「ライラック」「ひよこ」「鏡」「遠く広がる同心円」「馬車の上に載せられて行く悲しい目の子牛」。彼女は手帳に捕獲されて生きている魚のように、今なおピョンピョン飛び跳ねる単語をのぞきながら手帳を一枚めくってみる。
私の小説は交通事故よ。意地を張ったら最高なの。
私の小説は電話として。爆発すると大変。
私の小説は訪問販売よ。信じなければいけない。
私の小説はどんどん手に入るよ。決心だけすれば同じものが続く。
私の小説はスルメイカよ。火が付けば作れるのだから。
私の小説は食塩よ。笑いもしないことが中で塩と醤油を混ぜるの。
私の小説は花束よ。星の使い道がないのだから。
私の小説はコーヒーよ。眠りも来ず考えることだけ多いのよ。
私の小説はアパートよ。そこがそこよ。
私の小説はおかずよ。同じなら腹が立つわ。
私の小説は無理強いよ。笑わなくても笑い続けるのよ。
私の小説は気が狂った女よ。勝手だ。
私の小説はサイダーよ。栓を抜くと気が抜けるのよ。