田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

130828 言葉と文化

2013年09月01日 07時42分53秒 | 時評
言葉の力、コミュニケーションの力とはなんだろうか?ものごと(実態)を言葉は抽象化する手段だから、受け取る側で、抽象から具象への解釈作業があって、それぞれのレベルや範囲において伝わり理解される。受け取る側のレベルとか範囲は、その人のおかれている環境や状況、能力、そしてこれが大きいいが価値観によって異なる。更に言葉は、個人にとどまらず社会や歴史、文化の影響を受けて解釈が、理解が違ったり、当てはまらなかったり様々な事が起こる。
特に歴史の影響は大きいといわざるを得ない。例えば「天皇」という言葉は、日本の歴史を通じて1500年くらい存在していると思われるが、大和、奈良、平安、鎌倉、室町、江戸、明治、昭和、平成の各時代ごとに、人々が理解する『天皇』の意味合いは大きく違っていたにちがいない。大和、奈良、平安時代の500年間はには、天皇(帝)が支配者として君臨していたが、鎌倉から江戸にかけけての800年間は、お飾りだった。そして明治から昭和の20年まではふたたび支配者として復古し、昭和21年の憲法制定後は、またお飾りの位置に甘んじている。天皇という概念は言葉としては定義もされ、憲法にも記載されているが、日本人の受取る天皇の概念は、それぞれの時代の条件を反映して、不安定にさまよっている。憲法を変えて、天皇を元首にしようなどの動きも出てきているが、憲法の用語としての天皇と実際の天皇のこれからの実像は、後者が歴史や文化にもまれ、さらされて激しく動くものであるので、言葉として流通する場合、人々の解釈は、憲法に記されていることとは真逆のことだってあり得るだろう。

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