田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

120614あしたばの薬効

2015年08月27日 10時47分09秒 |  身近な自然(植木、小鳥、川)、ペット

 

 

あしたばといえば、口承で、驚くべき多くの効用が語られ、伊豆七島では薬草と野菜の中間に位置する常用植物(ハーブ)となっているのは有名である。

さて、「効くよ」といわれているものは次のようなものがある。

痘瘡治療、利尿、強壮、催乳、肝臓機能の改善、コレステロール値の低下、アトピーの改善、花粉症の解消、便秘の改善、かすみ目の解消、貧血予防、難聴の解消、黒髪の復活、肌すべすべ、シミ解消、悪酔防止、血糖値低下・・・。まるで万能薬のような評価である。

文献に因ると、あしたば(Angelica keiskei)は房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島、紀伊半島東南に自生するセリ科の大型多年生植物で原産地は八丈島である。成分を見ると春菊やにんじんなどの野菜類と比較してビタミン、ミネラル、植物繊維に優越、ビタミンB1、B2は、普通野菜に少ないが明日葉にはリッチ、葉緑素も多い。

特筆すべきこととして、茎を切った時に大量ににじんで出てくる黄色の組織液(茎、葉、根)にポリフェノールの一種である抗菌、抗酸化作用を持つカルコン類を多く含むことである。またクマリンという成分もアルツハイマー緩和・予防に効くということで興味深い研究対象になっているようだ。

 

都の試験場では、黄色汁を解析して10種のカルコンを単離した。そのうちキサントアンゲロールと4-ヒドロキシデリジンに次のような生理効果があることを報告している。

抗菌活性、血管拡張作用、抗潰瘍、胃酸分泌抑制、抗炎症、血液凝固防止、腫瘍細胞の増殖抑制、転移抑制効果。これらの他に、セルライト解消にも。

また、 茨城大学では、不妊の防止と、もう一つの成分であるクマリンのアルツハイマー病への緩和効果が研究対象になっている。

 

セルライトとは聞き慣れない言葉だが、皮下組織の血行不良や脂肪代謝不良が原因で肥大化した脂肪の周りに老廃物や水分が溜まる大きな固まりになったもの。あしたばカルコンは血行不良となったセルライト部分の血行を血管拡張作用によって改善、脂肪分の代謝を促すことがわかっているという。ただし、セルライト解消とダイエットに関連する作用機序は未解明、これからの研究に待つ。

これまでの食経験から安全上の問題はないと考えられているが、生理機能に関しては全てに科学的根拠を持っているわけではないので今後の解明が待たれるが、こんな身近な 植物が健康を守る資源植物としてあるということの驚きである。われわれも大いなる期待を持って研究の成果を見守りたい。


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