世界規模経済危機の影響は日本経済や社会にも急速に拡大している。社会の脆弱な部分に真っ先に影響が及ぶことを考えれば、冷静に見れば、現在は、日本社会の抱えていた見えにくかった問題点がくっきりと浮き彫りになった状態とも言える。
大量の非正規雇用者の失業問題、企業の利益のままに受け入れてきた外国人派遣労働者の問題、社会保障や医療現場の問題、中国・ロシアなど隣国との領海侵犯などの問題、アメリカ新大統領就任による日米同盟の今後・・・国や日本社会のあらゆる様々な問題が噴き出している。これは単に政権の危機ではない、日本の危機である。9月の経済危機とほぼ同時に発足し、日本のみならず世界規模の混迷とも対峙しなければならない麻生政権のご苦労はいかばかりかと思う。
そんな中で、マスコミはなりふり構わず、全力で政府パッシングをしている。大手労働組合は大量の失業者を横目で見ながら、変わらず自己の利益拡大を主張している。民主党は何をさておいても政権取りのために行動している。社会の危機に際して、誰が自身の利益拡大のみに奔走しているのか、このような危機だからこそ、かえってよく見えるというものである。