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「世襲制限」がもたらすもの

2009-06-03 | 政治〈国内〉

【今日の突破口】ジャーナリスト・東谷暁 「世襲制限」がもたらす破壊  2009.6.3 03:17  

 世襲議員への風当たりが強くなっている。政治家の世襲を制限すべきだというのだ。その動きが、世襲議員を大勢抱える自民党から出てきたのは、実に驚くべきことだろう。しかし、この反世襲運動は、自民党の自殺行為になりかねないだけでなく、日本の政治に閉塞(へいそく)をもたらす危険すらある。  

 マスコミはいま、政治家の世襲は愚劣だとあおるが、ほんの少し前までもてはやしていた「政策新人類」と呼ばれる政治家たちは、例外なく世襲議員だった。あれほど持ち上げた小泉元首相はもとより、その後の安倍、福田、麻生の3首相もすべて世襲議員。昨日まで褒めそやし、是認してきた世襲議員に対して、突如否定するようになったのは、「乱心」というべき精神の破綻(はたん)があったとしか思えない。  

 政治から他の分野に目を転じれば、華道、茶道、日本舞踊、歌舞伎、工芸については言うまでもなく、合理的な世界とされるビジネスにおいても世襲型経営はそれなりの存在感をもっているそれどころか、ほんの1年ほど前まで、世襲によって継承される「老舗」の評価が高まり、老舗に関する本がベストセラーとなるといった、静かな老舗ブームすらあった。  

 もちろん、このブームは老舗の料亭や和菓子店が、立て続けに不祥事を起こしたことがきっかけになっていた。老舗の評判が悪いが、では他の老舗はどのような状況にあるかと調べてみると、そうそうたる大企業がいくつも存続しているだけでなく、日本国中で地域経済をしっかりと支えていることに気づかされたというわけである。  

 しかもこの家族所有型経営形態は、決して日本に特有なものではない。信金中央金庫総合研究所の調査によると、家族が2割以上の株式を持っている企業の割合が、日本は9・7%にすぎないが、英国は19・9%、フランスが64・1%、ドイツも64・8%と、いずれも高い割合で維持されている。  

 すべてではないが、ある種の職業や業態は、濃密な人間関係によって、その骨法を伝承しなくてはならない。それが数百年どころか千数百年にわたって継続する文化をつくりあげていくのだ。

 政治の話に戻るが、英国の保守政治思想家マイケル・オークショットは、政治とは技術的知識ではなく、実践的知識なのだという。それは「教え、学習する」ものではなく、「伝え、獲得する」ものであるために、少なくとも3代かけなければ、まともな政治家は生まれないと論じた。あらゆる人間的要素の総合である政治は、文化的な要素を多く含み、実践的側面がきわめて強い営みなのである。(続きあり)   (MSN産経)

 

  

国会議員の「世襲」に関して取り沙汰されています。しかし、世襲であるという理由で頭からそれを否定したり制限するべきだという意見には、なにか違和感を感じていました。

すべてではないが、ある種の職業や業態は、濃密な人間関係によって、その骨法を伝承しなくてはならない。それが数百年どころか千数百年にわたって継続する文化をつくりあげていくのだ。」 という部分を読んで、大変、納得しました。

ある種の職業や業態」の伝承、「文化の継承」、「世代を超えて引き継がれていくもの」は、濃密な人間関係を(世代を引き継ぐ濃密な人間関係といえばやはりまず親子)必要としてきたということです。 

「世襲制限」をすることで、「世襲」を安易に否定してしまえば、壊されるもの失うものも、また大きい。この問題をある一面からのみ、例えば政局的な問題から、安易に考えてはならないと思います。

 

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